入選 幸せとは
薩摩町 高橋貞子
「おかあちゃん」と呼ぶ姑の声
いつの頃からか
嫁の私がお母さんになる
姿が見えなくなれば
又「おかあちゃん」と呼ぶ
うつろな瞳で私を見上げる
あんなに気丈だった姑
いつも間にか無口になり
童の如く遮二無二
あめ玉を口に入れる
記憶は だんだんと
幼き日に返ってゆくだろう
人生の終末を迎えた姑
幸せだっただろうか
きっと
幸せであったと思ってあげたい
もう一度
「おかあちゃん」と呼んで
童返りした姑に,やさしいお嫁さんの詩ですが,くどくど書かなかったところがいい。心を自立させている証拠でしょう。 |