特選
栄町一丁目
富永恵美子
(評)
我がもの顔にさえずっていた処に恋仇が侵入して来た。抗争の末にすごすごと縄張りをあけ渡し去って行く敗者。囀りは力の示威行動で生殖に参加できるか否かの熾烈な試練で、雌は傍観して勝者を伴侶に選ぶ。きれいなメロディーに秘められた悲哀の句。(湖風)