「点と線」
算数のプリントは
いっぱいの点・点 点ばかり
点を線でつなぎ
いろいろな形や 大きさの違う
三角形と四角形を描いた
宿題に 目を通しながら
点と線で出来る 人の世の形態
その点と線とは何なのだろう………
ふと そんな想いがよぎり
点と点が 線と線で 結ばれて
親子の形になり
家族形にもなって
もっと大きなものを
形作りもしているのだとしたら………
−点は愛 そして 線は力−
と 思い込むようになって
ひとり生活の 老境の周りには
もう 点一つ 線一つ
だが 何の形も出来ないなんて
べそをかくことはない
しなやかに 一つの線を撓めつつ
たったの一点に 結びつければ
丸の形になるのだから
丸を拡大鏡にして こっそり覗く
興味津々の眼に
さまざまな世界が見えもして
明るくなった窓辺
柔らかな陽光に丸まり 今日も
四時間程“おばあちゃんち”の子になる
下校児をを待っている
「ただ今!」の声
ふんわり 丸は膨らむ
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