「友」
「今日(きょう)は、
いい天気だね」
そっと 手をさしのべ、
友が、言った。
「触(さ)わってごらん
お陽(ひ)さまに」
目をつむって、僕は、
手のひらを、上に向けた。
「ね、あったかいだろう」
「・・・・」
「少し風が、あるね」
「・・・・」
目を開(あ)けたら、
つき出した、自分の両手が、
ぶざまに 広がっている。
友は、
同じ手のひらで、
お陽さまも、風も、
ちゃんと、見える。
本も、読める。
ひょっとしたら、
その耳は、
蝶々の、飛ぶ音も、
聞こえるかもしれないな。
いつか、僕の手も、
お陽さまや、風が、
見えるように、なるだろうか。
字が読めるように、
なるだろうか。
だけど、
この 空の青さは、
どうやって、
伝えたら、
いいのだろう。
その 花の色は───
あの 白い雲は───
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