詩 市民文芸作品入選集
入 選

あおむし
西今町 石井 春香

ごろり寝そべる
背中にとまった春の陽が
まろびだす
空が見える
すこしずつ かじってきた時間
今日まで

のばしたり
ちぢめたりして
振り払おうとしたきのうのできごとが
まひるの光に溶けていく
生まれたことを肯(うべな)えるまるさ

白い皿に四月を盛り
グリーンサラダを添える
レタスの葉から
あおむしが落ちてきた
まるまったまま 動かない
指でつついてみる
寝たふり


( 評 )
自分とあおむしを重ねあわせている作品。作者は手慣れた人であろうか。白いお皿に四月を盛りながらの開きなおりが新鮮でおもしろく表現されている。しかし、まろびだす/肯べなえる/はいかがなものか。

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