詩 市民文芸作品入選集
特 選

NEW YEAR
正法寺町 高井 豊

電線のうなりのなかに明日は吊されている
予告篇でもみたように
ひとびとは声を揃えていうであろう
−HAPPY NEW YEAR!−

はたして地球は戻ってきたのだろうか

狭くなった地図をつなぐ
国籍をもったジュラルミンの虹
人類はすでに音をまたいでいる
加速度が地球をはるかな高速でふりきった日
それは二〇〇〇年

そして二〇〇一年は
いま古ぼけた鐘の音で明けようとしている
それはぼくらの頭蓋のなかで
これからもくりかえされるだろう
ぼくが飾松をうっつけ
女房があいかわらず七輪の尻をあおいだりする
いつかそれも望遠鏡のなかに
ぼくが捉えたとしたら………

やがていつか人類は光を超えるだろう
どの顔がはじめて地球をぬけ出していくのだろう
蜜蜂のような羽音が世界を充たしているのがきこえてくるようだ


( 評 )
少々荒けずりながら新世紀へのひたすらな願いと希望をこの作品にみた。只抒情と感覚の部分は統一して欲しい。

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