詩 市民文芸作品入選集
入 選

戸賀町 四ツ門 信夫

朝焼けに
駅舎が
赤紫のさみだれ雲の
挾間に浮きあがり
ゆっくり移動する

駐車場の中央に
樫の木が楚々と佇む

はき出され
吸いこまれ
ほのかな香水と
一筋の煙を残し
始発電車が動く

学生もサラリーマンも
一日がソフトにつめこまれ
十人十色
サッサッサッと
軽快な自転車の音

「おっちゃん、おはよう!」
女子学生の声に
駐輪場がめざめる


( 評 )
こ忙しい駅の朝、うっとうしい時もあり、女子学生の挨拶が駐輪場に生気をもたらす。

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