詩 市民文芸作品入選集
佳 作

猫と共に
下矢倉町 勝見 久子

我が家の子猫貰って九ヶ月
丸々と太って手足を伸すと
五十センチM 座っている時は
親父のように
恰幅のよい「クロ」です

気が小さいのが、玉にきず
車の音にさっと逃げる
来客にもさっと隠れる
私に似てるのかな……

モグラ取りの名人
昨秋隣家の畑や自宅の廻り
六匹も取って
家の廊下に持込む
前足で右左にころがしている

「クロ」の一番悪いくせです
主人が隠れて草むらに逃すと
きょろきょろと捜す
夫婦の
散歩も 帰宅も
どこからか飛出して
一目散に走ってくる

良い所は
ふすまを引かけない
食卓に手を出さない
トイレは砂箱に
夜は自分の寝床の箱の中にねる

昨夜十時まで帰らない
呼んでも帰らない
雨戸をしめて寝てしまう
今朝戸を開けると
じっと座って怒ったように
ふくれ顔をしている
「開けて」と泣いても
聞こえぬ私 ごめんネ
「クロ」と共に此れからも暮そうネ


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