詩 市民文芸作品入選集
入 選

涙は流さない
芹橋一丁目 伊藤 寿美江

二度目の冬です
あなたが亡くなって二度目の冬です
夕方吹く風は身に凍みます
心の奥までしみ込んできます
それでも涙は流しません
涙は流さない事にしています

あんなにやさしかった
あなたが亡くなって二度目の冬です
冷たい空にまたたく星を見上げ
心の中で話しかけています毎夜
いくら話しかけても何の返事もありません
涙が流れ落ちそうになります

一人になって二度目の冬です
眞白い雪が降る空は無限です
あなたのやさしさも無限です
大空のどこかできっと見守ってくれる
あの大きなやさしさを心の中に
涙は流さないで生きていきます


( 評 )
 愛した人を失った作者の悲しみが素直に伝わり、作者の自分の心に言いかける強さも感じられる。永久に見守ってくれるであろう故人への思いも解るが、少し題名にもたれ過ぎているのではないだろうか。

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