晩春
すでにお役を果たしたのか 目の前のブレの来たテレビ 今日捨てようか 明日にしようか と ふんぎりのつかないまま リモコンを押している
すでにお役をすませたような 今の自分 明日あちらに行くのか しあさって彼岸に立つのか 少しも動揺しなくなったのは 役立たずになった自分を 納得しながら見ているからか
どこかで 重くわびしい背中をはがし 最後の心臓が 打ちおわるのを聞いているのだ
窓の外には 今年の桜が散りかけている