詩 市民文芸作品入選集
選者詠

春は春
谷川 文子

淋しい と云っても
淋しいよお と云っても
淋しさに変りはない
雀が枯草をくわえて飛んでいる
巣造りを始めたらしい
卵を産んでヒナを育てるつもり
いそがしいね
たいへんだね
その真剣な姿に打たれているわたしは
すべて終った
庭先のやわらかな日射しが
終ったわたしにも
春ですよ と告げている


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