詩 市民文芸作品入選集
特 選

誤  差
西今町 やまかみ まさよ

二月中旬の日の出は 六時半頃になり
私はそれより やや遅い目
愛用の目覚し時計に 起こされる

もうすでに
庭の雑木の小枝にやって来て
甲高く鳴きさけぶヒヨドリの 視線が
声も立てず 音も出さず
密やかに 目覚めていて
自分の朝を確認している

冬咲きの花たちの 姿勢が
窓ガラスの一点に 集まってきていて
ワンテンポずつ ずれながら
私の足が、腰が、肩が……、
遅れがちに機能してゆく 朝

日常化していく事件や事故を
朝刊で いちいち確認しても
立腹したり 涙したり
次第に しなくなり

今朝の洗顔後
自戒をこめて おもいっきり
化粧水を 叩きこんだ


( 評 )
 丁寧に書いてある季節の作品である。殊に終連に好感を持つ。しかし二連目に多少混乱を感じる。又題名はこの詩にしては多少重すぎはしないか。

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