詩 市民文芸作品入選集
入 選

字幕の喜び
下矢倉町 勝見 久子

年に一度の紅白歌合戦
父さんと私の楽しみです
音のない世界の私でも
目で見る楽しみが有ります

歌にも字幕が付きました
字幕を目で追い 口ずさむ
体が自然と動きます
リズムに乗って動きます

歌うよろこび知りました
音のない世界の私にも
歌うたのしみ持てました
家は誰も笑う人はない

一度の人生だもの
自分の声で歌いたい
心行くまで
字幕と共に歌いたい

歌よ
字幕よ
いつまでも
続いて下さい
永遠〔えいえん〕


( 評 )
 普段なにげなく見ている字幕、それにはこれだけの切実な意味が隠されているのだとこの作品から知らされた。耳の不自由な作者のよろこびと願いがストレートに伝わってくる。

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