ぬくもり
人さし指と親指で ひとつまみ
刻みたばこを キセルにつめ
火鉢の鉄びんを ずらし
スパッーと ひと音
ゆらぐ煙
待ちかまえて
父のあぐらの中へ
すこっと 入り
あおぐように見る
まあるい煙の輪っかを
次から次へ と作り
どうや、 と
目が笑う
時おり 大きな手で
頭をなでられる
心地好い 居場所
いつの頃からか
あの具合いい くぼみを
腰かけたり、 座ったりする時
さがしているのに みつからない
ふたつとない 父のあぐら椅子は
輪っかの煙の中
ぬくもりを 包んだまんま
ほんわかと 漂っている
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