詩 市民文芸作品入選集
入選

私の押入れ
下矢倉町 勝見 久子

二月のある日押入れの書〔から〕紙一枚分 開ける
私専用の押入れです

出る物は
古日記 アルバム 文芸誌 詩の仲間
鳥小同窓会誌 手話の先生の書

何度読んでも厭ない本ばかり
私にとっては宝物です
本を拭いて片付ける
途中 ページをめくって読みあさる
気が付けば 夕暮れ です

いつもの 読耽〔ふけ〕る 悪いくせが出る
読み始めると他は忘れている
遠い日の淋しさも有り 喜びも有る

此んな思い出が
懐しく 繰り返し出来るのも

私を生み 育てて下さった
亡き父母のお蔭
其して
廻りの人です

感謝の心を込めて
有難う


( 評 )
 題名がこの作品のすべてを表していて好感を持つ、手話の先生の書の内容を少々書き入れると此の宝庫のような「押入」がより生きて来るのでは、最後の二連はなくてもと思う。

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