詩を煮る
こころが沈む日は ふるさとの山野から おもい山草を摘んできて 素焼きの土鍋で煮てみましょう
香辛料はいりません ふるさとは ほのかな香りが漂っているのだから
こうして コトコトと 詩を煮つめているのです 少しこころの弾む日は 透明な鍋で スープ仕立てにしましょうか
ゆうぐれの ぶどう色したエーゲ海 クレタ島のオリーブと 古い 古いワインを一滴入れたなら ミノア文明の味がするでしょうか どんな材料を使ったら 詩の旨味が出るのでしょう 胸の火に 時空の鍋をかけて 今日も 考えているのです