仲間を増やそう

　今年度の応募者数は、昨年度と比べると全部門で減少し、全体で四十九名減（十二％減）、川柳部門は十二名減（十七％減）となった。その原因が文字離れ、文芸愛好家の高齢化などだと簡単に言ってしまってよいものだろうか。
　高齢者は増え続けているから、その中に文芸愛好家の候補者がいると思う。物事を始めるにあたって、何らかの切っ掛けがあったという人は多いと思う。私たちは、文芸愛好家の候補者に切っ掛けを届ける努力を惜しんではならない。その人たちに川柳のよさを伝え、川柳の場に誘うことを根気よく続けていただきたい。

個性のある川柳をめざそう

　花言葉は、同じ花に対しても国や民俗、言語ごとに異なったものが付けられている。それらは各民族が持つ神話や伝説などの伝承、歴史、風習、故事来歴、宗教などから生まれたため、同じ種類の草花であっても国や民族によって異なる意味を持つことが多く、花の色によっても異なる。日本においては、外国からの移入の経緯などによって数多くの花言葉がある。（フリー百科事典から）
　私たちが同じ物事に直面したときに、それぞれ違った思いや異なる感情を持つことがある。したがって、花言葉が、同じ花であっても、それに対する思いや見方などによって異なる、というのはうなずける。
　川柳作品にも同じようなことが言えると思う。川柳作品には、作者の経験が大きな影響を与えている。したがって、同じ物事に対しても、それらに対する作者一人ひとりの見方や思いの違いによって、作品の内容や表現方法が異なり、作者の個性を反映した川柳作品が生まれるのである。このことは、別な言い方をすると、川柳作品は、その一つひとつに個性があるからこそ存在価値が認められるのである。これからも、作者の個性がにじみ出る川柳作品をめざして努力を続けよう。
　今回の入賞作品に、作者の個性を感じさせる作品が多くなったことは、応募者のレベルの向上を表している。