本年度の応募下さった人数は、84名で昨年度より18名増、従って総句数も252句で55句増となり、誠に有り難く嬉しい限りで、市民文芸に寄せられた出句者の皆さんの意欲と情熱に深く敬意を表しますと共に、選者としての責任を痛感している次第でございます。選考には、投吟下さった全集句を、改めて順不同、無記名清記にて作成し直され、その小冊子をもとに、古株・西村両先生と共に、逐一熟読更に討議吟味を重ねる合同審査をさせていただきました。応募作を通じて感じたことは、相対的には水準も高く旧態を脱した新鮮味の溢れたもの等、優れたものが多く見受けられる中、選規の結果止むを得ず選外とせねばならぬ実情に辛労いたし、結果以上の48句に落ち着いた次第です。
　経験豊富な老練の方々はよくよくご存じでございますが、初心者の方もかなりいらっしゃると見て取り、例年の事ながら申し上げます。冠句は題を発想源に季語季題にこだわらず自由に連想して、付け句の「中七、下五の十二文字」にまとめる短詩です。今回の出句のなかには「中七、下七」という方も数名あり、また、着眼が同じ類型句も多く見受けられました。冠題の持つ意味、要求しているものを自由に深く創造し、それを拠点として色々角度をかえたりひろげたりしての着想を飛躍させ、少なからず湧き出るもの、汲みあげる発想で、聞いて「なるほど」「そうか」とうなずけるような、共感したり感銘を受ける作句をし、作者自身でも楽しんでいただきたいと思います。併せて冠題と付け句十二文字には、「間」という間隔が大切で、冠題からすぐに続く七・五文字であったり、即ち冠題にくっつき過ぎても離れすぎてもいけないことと、冠題の説明であったりしないことを、付け加えさせていただきます。
　どうぞ句友の皆さん、選外の方も紙ひとえ、めげることなく、今年に倍して来年のご投吟をお願い申し上げ、拙いペンを置きます。