○彦根市伝統的建造物群保存地区保存条例
| (平成23年3月23日条例第3号) |
|
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第1項の規定に基づき、本市が定める伝統的建造物群保存地区に関し、現状変更の規制その他その保存のため必要な措置を定め、もって本市の文化的向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「伝統的建造物群」とは、法第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。
2 この条例において「伝統的建造物群保存地区」とは、法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区をいう。
(保存計画)
第3条 市長は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項の規定に基づき都市計画に伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)を決定したときは、彦根市伝統的建造物群保存審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。
2 保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項
(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)および伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の決定に関する事項
(3) 保存地区内における建造物の保存整備計画に関する事項
(4) 保存地区内における建造物および伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設および設備ならびに環境の整備に関する事項
3 市長は、保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 第1項および前項の規定は、保存計画を変更する場合について準用する。
(現状変更行為の規制)
第4条 保存地区内における次に掲げる行為については、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない。
(1) 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転または除却
(2) 建築物等の修繕、模様替えまたは色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石の類の採取
(6) 水面の埋立てまたは干拓
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる行為については、同項の規定による許可を受けることを要しない。
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転または除却
ア 仮設の工作物の新築、増築、改築、移転または除却
イ 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるものの新築、増築、改築、移転または除却
(3) 次に掲げる木竹の伐採
ア 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採
イ 枯損した木竹または危険な木竹の伐採
ウ 森林病害虫等防除のための木竹の伐採
エ 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採
オ 仮植した木竹の伐採
(4) 前3号に掲げるもののほか、次に掲げる行為
ア 法令またはこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
イ 滋賀県公安委員会が行う道路標識等の設置または管理に係る行為
ウ 農林漁業を営むために行う行為。ただし、次に掲げるものを除く。
(ア) 建築物等の新築、改築、増築、移転または除却(仮設の工作物を除く。)
(イ) 用排水施設または幅員が2メートルを超える農道もしくは路肩部分および屈曲部または待避所として必要な拡幅部分を除く部分の幅員が3メートルを超える林道の設置
(ウ) 宅地の造成または土地の開墾
(エ) 森林の択伐または皆伐(林業を営むために行うものを除く。)
(オ) 水面の埋立てまたは干拓
3 市長は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付することができる。
(許可の基準)
第5条 市長は、次に定める基準に適合しないものについては、前条第1項の規定による許可をしてはならない。
(1) 伝統的建造物の増築もしくは改築または修繕、模様替えもしくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠または色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置および移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築もしくは改築または修繕、模様替えもしくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠または色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置および移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(6) 第4号の建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(7) 前条第1項第3号から第6号までの行為については、それらの行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(8) 前各号に定めるほか、当該行為後の建築物等または土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存または当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。
(国の機関等に関する特例)
第6条 国もしくは地方公共団体の機関または法令の規定により国の行政機関もしくは地方公共団体とみなされる法人(以下「国の機関等」という。)が行う行為については、第4条第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、同項の許可に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長に協議しなければならない。
[第4条第1項]
(適用除外)
第7条 文化財保護法施行令(昭和50年政令第267号)第4条第6項各号に規定する行為およびこれらの行為に類する行為で保存地区の保存に著しい支障を及ぼすおそれのないものとして規則で定めるものについては、第4条第1項および前条の規定は適用しない。この場合において、当該行為をしようとする者は、あらかじめ、市長にその旨を通知しなければならない。
[第4条第1項]
(許可の取消し等)
第8条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、保存地区の保存のため必要な限度において、第4条第1項の規定によってした許可を取り消し、または工事その他の行為の停止を命じ、もしくは相当の期限を定めて、建築物等の改築、移転または除却その他違反を是正するため必要な措置を執ることを命ずることができる。
[第4条第1項]
(1) この条例の規定またはこれに基づく処分に違反した者
(2) この条例の規定またはこれに基づく処分に違反した工事の注文主もしくは請負人(請負工事の下請人を含む。)または請負契約によらないで自らその工事をしている者もしくはした者
(3) 第4条第3項の規定により許可に付した条件に違反している者
[第4条第3項]
(4) 詐欺その他不正な手段により、第4条第1項の規定による許可を受けた者
[第4条第1項]
2 市長は、前項の規定により、処分をし、または必要な措置を執ることを命じようとするときは、あらかじめ、彦根市伝統的建造物群保存審議会の意見を聴き、かつ、当該処分または措置を命ずべき者について聴聞を行わなければならない。
(経費の補助等)
第9条 市は、保存地区内における建造物および伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の管理、修理、修景または復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、または当該建造物および物件の所有者等に対しその経費の一部を補助することができる。
(審議会の設置等)
第10条 市長の附属機関として、彦根市伝統的建造物群保存審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する事項について調査審議し、および当該事項について市長に建議する。
3 審議会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(罰則)
第11条 次の各号のいずれかに該当する者は、50,000円以下の罰金に処する。
(1) 第4条第1項の規定に違反した者
[第4条第1項]
(2) 第8条第1項の規定に基づく命令に違反した者
[第8条第1項]
(両罰規定)
第12条 法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務または財産に関して、前条の違反行為をした場合においては、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても、同条の罰金刑を科する。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付 則
この条例は、平成23年10月1日から施行する。
付 則(平成31年3月22日条例第10号)抄
|
|
(施行期日)
1 この条例は、平成31年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前に第1条、第2条および第5条の規定による改正前のそれぞれの条例の規定により教育委員会がした行為および教育委員会に対してされた行為は、第1条、第2条および第5条の規定による改正後のそれぞれの条例の相当規定により市長がした行為および市長に対してされた行為とみなす。
4 この条例の施行前に第5条の規定による改正前の彦根市伝統的建造物群保存地区保存条例第10条の規定により設置された彦根市伝統的建造物群保存審議会は、第5条の規定による改正後の彦根市伝統的建造物群保存地区保存条例第10条の規定により設置された彦根市伝統的建造物群保存審議会とみなす。