○彦根市指定工作物指導要綱
| (令和3年3月18日告示第54号) |
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(目的)
第1条 この要綱は、彦根市のすぐれた自然環境および文化環境を生かし、良好な生活環境を確保し、地域の特色を生かし調和のとれた土地利用と秩序ある都市形成を図るため、市内において行われる建設行為について、一定の必要な事項を定めることにより、指定工作物の建設を行う者(以下「事業主」という。)の積極的な協力を求めるとともに、適切な指導を行い、もって市民福祉の向上と健康で文化的な都市の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 指定工作物 土地に定着して設置する太陽光発電設備で、敷地の面積が1,000平方メートル以上のものをいう。
(2) 建設行為 指定工作物を新しく建設することをいう。
(3) 敷地 指定工作物を建設する土地の区域をいう。
(適用範囲)
第3条 この要綱は、事業主が行う建設行為に適用する。
(基本原則)
第4条 事業主は、建設行為が彦根市総合計画に整合し、市民生活の安全性と利便性を確保し、健康で快適な環境を創出するよう努めなければならない。
2 市長は、建設行為がこの要綱の規定に適合しない場合または次に該当する場合は、当該建設行為の内容について変更または修正を求めることができる。
(1) 彦根市の土地利用等に関する計画に整合しない場合
(2) 排水能力に余裕のない河川流域において行われる場合
(3) 上下水道計画に適合しない区域において行われる場合
(4) 公共施設および公益施設が未整備のため、建築目的に適しない区域において行われる場合
(5) 遺跡の所在が明らかになり、極めて貴重なものが発見された区域において行われる場合
(6) 彦根市地域防災計画等に掲げる危険区域等において行われる場合
3 事業主は、建設行為を行うときは、周辺地域との整合性を考慮するとともに、住宅環境の保全整備のため、彦根市が定める都市計画法に基づく開発行為に関する技術基準および次条に規定する技術基準により計画、設計および施工をしなければならない。
4 事業主は、建設行為を行うときは、景観法(平成16年法律第110号)および彦根市景観条例(平成7年彦根市条例第26号)を遵守するとともに、自然環境、生活環境および文化環境の保全と創出に努め、彦根市景観計画(平成19年彦根市告示第146号)に定める建築物、工作物等の形態、色彩等に配慮しなければならない。
5 事業主は、建設行為を行う場合において、屋外広告物を設置するときは、彦根市屋外広告物条例(平成27年彦根市条例第6号)を遵守するとともに、良好な景観の形成に努め、市の個性ある美しい景観の形成に配慮しなければならない。
6 事業主は、建設行為を行うときは、安心して暮らせる住み良い地域社会をつくるため、防犯等安全の確保が図られるよう努めなければならない。
7 事業主は、市長が必要と認める場合は、敷地について、都市緑地法(昭和48年法律第72号)第45条または第54条の規定に基づく緑地協定の締結に協力しなければならない。
8 事業主は、地域計画が定められている区域または計画もしくは予定されている区域で建設行為を行うときは、当該建設行為を地区計画の方針および地区整備計画に適合させなければならない。この場合において、事業主は、一層良好な市街地環境の整備に資するため、土地区画整理事業等との併用に努めなければならない。
9 事業主は、建築行為を行うときは、敷地の良好な環境の確保を図るため、建築基準法(昭和25年法律第201号)第69条または第76条の3の規定に基づく建築協定の締結および都市計画法第12条の4第1項の規定による地区計画等の決定に協力しなければならない。
(技術基準)
第5条 事業主は、建設行為を行うときは、次に掲げる事項に留意し、計画、設計および施工しなければならない。
(1) 造成工事(盛土および切土)を行うときは、擁壁、コンクリート等の構造物を設置し、または張芝等を種子吹付等により植栽し、造成面を保護する対策を講じなければならない。この場合において、フェンス等の工作物を設置するときは、法肩から30センチメートル以上の距離を置いた上で、法面の勾配を30度以下としなければならない。
(2) 敷地内に事業主および取扱者以外の者が立ち入らないように、太陽光発電設備から2メートル以上の距離を置いた上で、高さ1.8メートル以上(隣地の地盤が高い場合は、当該隣地の地盤から高さ1.8メートル以上)のフェンスを設置するものとし、フェンスの基礎をコンクリート等の構造物で施工しなければならない。この場合において、当該フェンスには、事業者の連絡先等を記載した看板等を外部から見やすい場所に設置しなければならない。
(3) 太陽光発電設備は、杭基礎または鉄筋コンクリート造の直接基礎とし、次の基準に耐え得るものとしなければならない。この場合において、使用する部材は、腐食、腐朽その他の劣化しにくい材料または防食等の劣化防止のための措置を講じた材料を使用しなければならない。
ア 風速 1秒当たり34メートル
イ 積雪 80センチメートル
(4) 排水処理施設は、開発行為に伴う雨水排水計画基準(案)(平成21年4月策定)により排水計画を計画し、コンクリート等の堅固で耐久性を有する構造としなければならない。
(事前の協議)
第6条 事業主は、建設行為を行う場合は、指定工作物事前協議書(別記様式第1号)に次に掲げる図書を添付し、建設行為を行う60日前までに、市長に提出しなければならない。ただし、滋賀県土地利用に関する指導要綱(昭和48年滋賀県告示第407号)第5条第1項の規定に基づく開発事業計画等届出を行う場合は、この限りでない。
(1) 建設行為を行う指定工作物に係る次に掲げる書類
ア 付近見取図(おおむね2,500分の1以上の縮尺で、方位、道路および目標となる地物を記載したもの)
イ 土地利用計画平面図
ウ 造成計画平面図
エ 排水計画平面図(表面排水方向および放流先を図示したもの)
オ 断面図(おおむね200分の1以上の縮尺のもの)
カ 指定工作物の詳細図(高さを図示したもの)
キ 現況写真(全景および隣接部が確認できる写真で、敷地境界線を赤色で明示したもの)
(2) 敷地周辺(敷地の境界線から周囲10メートル以内の範囲をいう。)に住宅が存在する場合において建設工事を行うときは、次に掲げる書類
ア 反射光シミュレーション調査書
イ パワーコンディショナー等騒音調査書
(3) その他特に市長が必要と認めるもの
2 市長は、指定工作物事前協議書が提出されたときは、遅滞なく協議し、その結果を指定工作物事前協議の審査結果について(別記様式第2号)より事業主に通知しなければならない。
3 前項の通知を受けた事業主は、指定工作物要件協議書(別記様式第3号)を市長に提出し、関係所属と協議しなければならない。
4 市長は、前項の規定により協議が終了したときは、指定工作物事前協議終了通知書(別記様式第4号)により事業主に通知しなければならない。
(雨水排水)
第7条 事業主は、敷地内から放流される雨水排水について、放流先の河川の集水域の流量を勘案し、河川等の管理者と協議の上、排水のために必要な措置を講じなければならない。
2 河川等の流域の変更は、原則として認めない。
3 前項の規定にかかわらず、河川等の管理者がやむを得ないと認めたときは、河川等の流域を変更することができる。この場合において、変更に伴って流末河川および排水路の改修を必要とするときは、事業主の負担においてこれを行わなければならない。
4 事業主は、敷地内の排水路および放流先の排水能力を十分考慮し、施設を整備しなければならない。この場合において、河川等の管理者が排水能力の限界を超えるおそれがあると判断したときは、事業主の負担において調整池等流出抑制施設の設置または排水可能地点までの改修等を行わなければならない。
5 事業主は、前項の規定による施設の整備を河川等の管理者が行う場合は、当該管理者が必要と認める範囲内で、用地を無償譲渡し、および事業費の負担をしなければならない。
6 事業主は、敷地内の形状その他の状況により降雨時において下流に被害を与えるおそれがある場合は、当該敷地内において調整池その他適当な施設を設けて流水緩和の措置を講じなければならない。この場合において、河川等の管理者に当該施設が帰属されるときは、工事の施工後から当該施設が帰属されるまでの間、事業主の責任において当該施設を管理しなければならない。
7 事業主は、用排水施設の設置または河川等の改修に当たっては、地元水利関係団体の管理者と十分な協議の上、協議経過書を得るとともに、市長と協議の上、施行しなければならない。
(関係機関との調整)
第8条 教育施設、社会福祉施設等の周辺および園児、児童、生徒等の通園路または通学路の周辺で建設行為を行うときは、当該施設等を管理する関係機関とあらかじめ協議しなければならない。
(自然環境の保全)
第9条 事業主は、自然環境の保全に関し、滋賀県自然環境保全条例(昭和48年滋賀県条例第42号)の規定に基づき、敷地内の植生の回復に努めなければならない。
2 事業主は、敷地が自然公園法(昭和32年法律第161号)の規定による特別地域、都市計画法の規定による風致地区の指定区域または山林である場合は、市長と協議の上、敷地内に自然植生をできる限り残す等、身近に自然と触れ合える場を確保するよう努めなければならない
(緑化推進)
第10条 事業主は、建設行為を行うときは、彦根市緑の基本計画(平成9年3月策定)に基づき緑化の推進に努めるとともに、彦根市景観計画に定める緑化率を遵守しなければならない。
2 事業主は、敷地内に地域の特性を象徴し、四季を感じさせる樹木(成木に限る。)を植栽し、かつ、建築行為により生じた法面に張芝等を植栽し、敷地とその周辺との景観の調和を図るよう努めなければならない。
(公害等の防止)
第11条 事業主は、建設行為により発生するおそれのある騒音、振動、粉じん、水質汚濁、地下水汚染等の公害の発生を未然に防止する措置を講じなければならない。
2 事業主は、公害が発生した場合は、速やかに工事を中止し、自己の責任において原因の除去、被害状況の調査、被害の復旧および被害者に対する損害補償を行わなければならない。
(災害防止)
第12条 事業主は、建設行為を行うときは、工事に伴う近隣の住民および工作物等の災害防止に万全を期すとともに、必要に応じ関係地域の工作物等の調査を行う等の措置を講じなければならない。
2 事業主は、建設行為による災害の発生を未然に防止する措置を講じなければならない。
(工事中における道路交通対策)
第13条 事業主は、建設行為を行うときは、工事に伴う資材等の搬出および搬入について、歩行者、通行車両、周辺建築物等の安全を図るため、事前に交通安全および道路汚損防止を目的とした運搬計画を立て、道路管理者および所轄警察署長その他関係機関と協議の上、その指示に従わなければならない。
(農林水産業関係)
第14条 事業主は、敷地の予定地が農地法(昭和27年法律第229号)に基づく許可、届出等を必要とする土地である場合においては、彦根市農業委員会と協議し、その指示に従わなければならない。
2 事業主は、建設行為を行うことにより、排水等でかんがい用水に支障を来し、または水質の汚染等により農林水産物に悪影響を与えるおそれがある場合は、これを未然に防止するため、市長および関係機関と協議の上、必要な措置を講じなければならない。
3 事業主は、建設行為を行うに当たっては、隣接農地等または農林水産物その他の施設等に被害を及ぼすことのないよう、事業主の責任において、被害防止のため必要な措置を講じなければならない。
(文化財の保護)
第15条 事業主は、建設行為を行う場合において、敷地内に保存が必要と認められる文化財(文化財保護法(昭和25年法律第214号)第2条に定める文化財をいう。)または周知の埋蔵文化財包蔵地があるときは、事前に市長と協議の上、発掘、保存等について市長に協力するとともに、発掘調査等に要する費用等を負担しなければならない。
2 事業主は、建設行為によって新たな遺跡、遺物等が発見されたときは、直ちに市長に届け出るとともに、当該遺跡、遺物等の保護に必要な措置を講じなければならない。
(建設計画の公開)
第16条 事業主は、建設行為を行うときは、市および関係機関の事前協議が終了した後、速やかに敷地内の見やすい場所に標識(別記様式第5号)を建築基準法第89条第1項の規定に基づく確認の表示を行うまで設置するとともに、標識設置報告書(別記様式第6号)および当該標識を設置したことを証する写真を市長に提出しなければならない。
2 標識の表示事項に変更があったときには、速やかに標識の表示事項を変更しなければならない。
(説明会の開催等)
第17条 事業主は、建設行為の事業計画および施工計画(これらを変更した場合は、変更後の事業計画および施工計画)について、地域住民、権利者、関係者に対して十分説明するとともに、これらの者と協議を行わなければならない。
2 事業主は、前条第1項の標識を設置した後、次に掲げる事項について、それぞれ影響を受けることとなる次項に規定する近隣の関係者に対して、十分説明するとともに、これらの者から説明会の開催の要求があった場合は、速やかに説明会を開催しなければならない。
(1) 指定工作物の用途、規模、構造、工法および工事期間
(2) 指定工作物による日影および反射光の影響
(3) 電波障害の発生予測範囲および改善方法
(4) 建設工事による危害防止の方法および当該建設工事に係る公害防止対策
(5) その他指定工作物により影響を受けることが予測される事項
3 前項の近隣の関係者とは、次に定めるものをいう。
(1) 建設しようとする指定工作物の敷地境界線から周囲10メートル以内の敷地にある建築物の所有者、居住者および土地の所有者
(2) 自治会その他特に市長が必要と認めるもの
4 事業主は、第1項および第2項の説明を行った場合は、説明会状況報告書(別記様式第7号)または当該報告書に準じる書類により市長にその内容を報告しなければならない。
(工事の完了)
第18条 事業主は、建設行為に係る工事の完了後に、指定工作物工事完了報告書(別記様式第8号)を、速やかに市長に提出しなければならない。
2 市長は、前項の提出があった場合は、必要に応じて現地にて状況を確認するものとする。この場合において、建設行為の事前協議の内容に適合しない箇所があるときは、事業主は、これを整備しなければならない。
(誓約書の提出)
第19条 事業主は、建設行為を行うときは、事業の施行に伴い発生する地域住民等との紛争または損害の賠償に対し、事業主の責任において解決する旨の誓約書(別記様式第9号)を説明会状況報告書に添付し、市長に提出しなければならない。
(要綱等の遵守義務)
第20条 事業主は、この要綱により定めた事項を誠実に遵守し、履行しなければならない。
2 事業主は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第9条の規定に基づく認定を受ける場合は、事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)(平成29年3月策定)を遵守し、履行しなければならない。この場合において、事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)を遵守していないまたは必要な手続が適正に行われていないときは、市長は、経済産業省に不適切な案件として情報提供を行うものとする。
(その他)
第21条 この要綱に定めのない事項またはこの要綱により難い事項は、市長が別に定める。ただし、当該事項のうち、市長が必要と認める事項については、事業主と協議して定めるものとする。
付 則
この告示は、令和3年4月26日から施行する。
付 則(令和5年6月19日告示第184号)
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この告示は、令和5年8月1日から施行する。
