○彦根市職員等の内部通報に関する要綱
(平成30年7月17日告示第196号)
改正
平成31年4月1日告示第84号
令和4年6月1日告示第173号の2
令和5年4月1日告示第141号
(目的)
第1条
この要綱は、公益通報者保護法(平成16 年法律第122 号。以下「法」という。)の趣旨に鑑み、内部通報について必要な事項を定めることにより、市政における違法な事態の防止および損失の抑制を図り、公正な職務の遂行を確保するとともに、公務に対する市民の信頼を確保し、公正かつ民主的な市政の運営に資することを目的とする。
(定義)
第2条
この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
職員等 次に掲げる者およびこれらの者であった者をいう。
ア
本市(以下「市」という。)の地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条に規定する一般職および特別職に属する職員(以下「市職員」という。)
イ
市が派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第2号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)の労働者派遣(同条第1号に規定する労働者派遣をいう。)により役務の提供を受ける場合における当該派遣労働者
ウ
事業者が市との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合における、当該事業者の役員ならびに当該事業に従事する労働者(労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいう。以下同じ。)および派遣労働者
エ
地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定を受けた事業者の役員ならびに当該指定に係る事業に従事する労働者および派遣労働者
(2)
任命権者 地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者をいう。
(3)
内部通報 職員等が、人事上の処遇に関する事項その他の事項について私益を図るにとどまる目的または不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、市または市の事業に従事する場合における市職員、代理人その他の者について、市政運営上の次のいずれかに該当する行為(不作為を含む。)(以下「法令違反行為等」という。)の事実が生じ、またはまさに生じようとしている旨を、市に通報することをいう。
ア
自己または他の市職員の法令および条例その他の例規に違反し、または違反するおそれのある行為
イ
人の生命、身体、財産または生活環境に重大な損害を与え、または与えるおそれのある行為
ウ
その他市民全体の利益その他の公益に反するおそれがある行為
(4)
内部通報者 内部通報をした職員等をいう。
(不利益な取扱いの禁止)
第3条
任命権者は、その任用し、または任用していた内部通報者(市職員に限る。)が内部通報をしたことを理由として、当該内部通報者に対して懲戒処分、人事、給与その他の勤務条件に係る不利益な取扱いをしてはならない。
2
事業者は、その使用し、または使用していた内部通報者(市職員を除く。)が内部通報をしたことを理由として、当該内部通報者に対して解雇または労働者派遣契約の解除、降格、減給その他の不利益な取扱いをしてはならない。
3
前2項の不利益な取扱いを受けた内部通報者は、その旨を内部通報審査委員会に申し出ることができる。
この場合において、当該内部通報者は、特段の事由がない限り、当該内部通報をしたことを理由として当該不利益な取扱いを受けたものと推定する。
(内部通報の方法)
第4条
内部通報は、次条第1項に規定する相談窓口または同条第3項に規定する弁護士窓口に行うものとする。
2
内部通報は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める方法により行うものとする。
この場合において、内部通報をする職員等は、当該法令違反行為等の事実が生じ、または生じようとしていると思料する場合は、法第3条第2号イからニまでに掲げる事項を記載した書面を提出するものとする。
(1)
次条第1項に規定する相談窓口 書面、ファクシミリ、電子メール、電話、面談等
(2)
次条第3項に規定する弁護士窓口 書面、ファクシミリ、電子メール等
3
内部通報は、次に掲げる事項を確実な資料に基づき明らかにしなければならない。
(1)
内部通報をする職員等(市職員に限る。)にあっては氏名および所属部署、内部通報をする職員等(市職員を除く。)にあっては氏名および自らを使用する事業者の名称
(2)
法令違反行為等の事実が生じ、または生じようとしている日時および場所(法令違反行為等が不作為である場合にあっては、するべきであった行為の内容)ならびに証拠の状況
(3)
その他任命権者が必要と認める事項
(相談窓口)
第5条
内部通報は、内部通報の相談窓口(以下「相談窓口」という。)において受け付けるものとする。
2
相談窓口は、当該内部通報に係る法令違反行為等を所管する任命権者の区分に応じ、次の表のとおりとする。この場合においては、原則として同表第1窓口の欄に定める所属とし、やむを得ない事情がある場合に限り、同表第2窓口の欄に定める所属とする。
任命権者
第1窓口
第2窓口
市長 議長 選挙管理員会 公平委員会 代表監査委員 農業委員会 固定資産評価審査委員会
人事部人事課
総務部総務課
病院事業管理者
市立病院事務局職員課
人事部人事課
消防長
消防本部消防総務課
教育委員会
教育委員会事務局教育総務課
3
法第11条第1項に規定する公益通報対応業務従事者(以下「公益通報対応業務従事者」という。)は、次の各号に掲げる業務に応じ、当該各号に定める職員とする。
(1)
内部通報の受付および受理ならびに当該内部通報に係る通報対象事実の調査 前項に規定する相談窓口の所属の担当職員
(2)
法令違反行為等の是正に必要な措置 当該措置をとる任命権者が指定する職員
4
第1項に規定するもののほか、弁護士が担当する窓口(以下「弁護士窓口」という。)を設置するものとする。
5
内部通報を受け付けた公益通報対応業務従事者および弁護士窓口の弁護士は、当該内部通報の内容を当該内部通報者から聴取するとともに、これを内部通報報告票(別記様式第1号)に記録するものとする。
6
前項の場合において、速やかに内部通報審査委員会に報告するものとする。
(内部通報審査委員会)
第6条
内部通報および第3条第3項の規定による不利益な取扱いを受けた旨の申出(以下「不利益な取扱いを受けた旨の申出」という。)について調査審議するため、内部通報審査委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2
委員会の所掌事務は、次に掲げる事項とする。
(1)
内部通報および不利益な取扱いを受けた旨の申出の受理または不受理の決定に関すること。
(2)
内部通報および不利益な取扱いを受けた旨の申出に係る調査、審査および報告に関すること。
(3)
内部通報および不利益な取扱いを受けた旨の申出に係る再発防止の措置に関すること。
(4)
その他市長が必要と認める事項に関すること。
3
委員会は、次に掲げる職にある者をもって構成する。
(1)
副市長
(2)
人事部長
(3)
教育部長
(4)
コンプライアンス推進監
(5)
人事部次長
(6)
人事課長
(7)
当該内部通報に係る法令違反行為等を所管する市長直轄組織および部の長(第2号および第3号に掲げる職にある者を除く。)
(8)
当該内部通報を受け付けた相談窓口の所属(当該内部通報を弁護士窓口が受け付けた場合にあっては、前条第2項の表任命権者の欄に規定する区分に応じ、同表第1窓口の欄に定める所属)の長(第5号に掲げる職にある者を除く。)
4
委員会に委員長を置き、副市長をもって充てる。
5
委員会の会議(以下「会議」という。)は、委員長が招集し、その議長となる。
6
会議は、委員全員の出席をもって開催するものとする。
ただし、やむを得ない事情がある場合は、この限りでない。
7
委員長に事故があるとき、または委員長が欠けたときは、委員長があらかじめ指名した委員がその職務を代理する。
8
委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
9
委員は、自己または父母、祖父母、配偶者、子、孫もしくは兄弟姉妹の一身上に関する事項またはこれらの者の従事する業務に直接の利害のある事項については、会議に出席することができない。
10
委員会は、必要と認めるときは、内部通報に係る事項の決定に関し権限を有する者および内部通報に係る職員等を監督する責務を負う者(以下「管理者等」という。)から事情を聴くことができる。
11
委員会は、必要と認めるときは、弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)その他専門的知識を有する者から意見を聴くことができる。
12
会議は、非公開とする。
13
委員会の庶務は、人事部人事課において処理する。
(受理または不受理の決定等)
第7条
委員会は、第5条第6項の規定による内部通報の報告があったときは、内部通報者からその趣旨を聴取の上、当該内部通報の受理または不受理の決定をするものとする。
2
前項の場合において、委員会は、当該内部通報が第2条第3号に規定する目的で行われたものと認めるときは、その不受理の決定をしなければならない。
3
委員会は、前2項の規定により内部通報の受理または不受理の決定をしたときは、直ちに当該内部通報に係る概要および決定の内容を市長に報告しなければならない。
4
前項の場合において、内部通報者の氏名および所属部署(内部通報者が市職員以外の職員等である場合にあっては、氏名および自らを使用する事業者の名称)については、これを報告してはならない。
ただし、あらかじめ内部通報者の同意を得たとき、または内部通報者から特に依頼があったときは、この限りでない。
5
委員会は、第1項および第2項の規定により内部通報の受理または不受理の決定をしたときは、遅滞なく、当該決定の内容(受理の決定をした場合にあっては、決定の内容および当該内部通報に係る手続の終了までに必要と見込まれる期間)を内部通報者に通知するものとする。
ただし、通知を希望しない内部通報者については、この限りでない。
(事実確認の調査)
第8条
委員会は、内部通報の受理の決定をしたときは、遅滞なく当該内部通報に係る法令違反行為等の事実の確認のための調査を開始しなければならない。
2
委員会は、公益通報対応業務従事者に、管理者等に対し説明を求め、およびその管理する関係書類等を閲覧し、またはその提出を求めるなどによる調査をさせるものとする。
3
公益通報対応業務従事者は、前項の調査を行ったときはその結果を委員会に報告しなければならない。
4
職員等および管理者等は、第1項および第2項の調査に協力しなければならない。
5
前項の規定により調査に協力した職員等および管理者等は、調査を受けた事実および調査により知り得た情報を他に漏らしてはならない。
6
委員会は、第1項および第2項の調査の結果を内部通報に係る調査結果報告書(別記様式第2号)により市長に報告しなければならない。
7
前条第4項の規定は、前項の規定による報告について準用する。
(再発防止のために必要な措置等)
第9条
市長は、前条第6項の規定により当該内部通報に係る法令違反行為等に関し、その事実がある旨の報告を受けたときは、次に掲げる措置(以下「再発防止のために必要な措置等」という。)をとらなければならない。
この場合において、当該報告の内容が他の任命権者の所管に属するものであるときは、市長は当該他の任命権者に通知し、当該他の任命権者は市長に準じて再発防止のために必要な措置等をとらなければならない。
(1)
再発防止のために必要な措置
(2)
告発または告訴(必要と認める場合に限る。)
2
市長または他の任命権者(以下「市長等」という。)が相当な期間が経過しても再発防止のために必要な措置等をとらないときは、委員会は、期限を定めて再発防止のために必要な措置等をとるよう勧告することができる。
この場合において、市長等が同項の措置をとらないときは、自ら再発防止のために必要な措置等をとることができる。
3
市長等は、第1項の報告および前項の勧告を受けたときは、誠実に対応しなければならない。
4
委員会は、第1項の結果を内部通報者に通知しなければならない。
ただし、通知を希望しない内部通報者については、この限りでない。
(不利益な取扱いを受けた旨の申出に係る調査等)
第10条
第7条および第8条の規定は、委員会による不利益な取扱いを受けた旨の申出に係る受理または不受理の決定および事実確認の調査について準用する。
2
委員会は、不利益な取扱いを受けた旨の申出に係る不利益な取扱いの事実があると認めるときは、当該不利益な取扱いをした者に原状回復その他の改善を勧告することができる。
3
市長等は、内部通報者が第3条第1項または第2項の不利益な取扱いを受けたとき、または受けるおそれがあると認めるときは、その改善または防止のために必要な措置をとらなければならない。
この場合において、前項の規定による勧告が行われたときは、当該勧告の内容を踏まえて必要な措置をとるものとする。
(名誉回復の措置)
第11条
市長等は、内部通報に係る事実がないことが明らかになった場合において、関係者の名誉が害されたと認めるときは、当該関係者の名誉を回復するために適切な措置をとらなければならない。
(市職員の処分の軽減)
第12条
市長等は、内部通報者が内部通報に係る法令違反行為等に関与した市職員である場合において、当該市職員の懲戒処分をするときは、当該法令違反行為等を別に定める彦根市職員の懲戒処分に関する指針の基準に照らして決定した場合の懲戒処分の内容を軽減して、その内容を決定することができる。
(個人情報の取扱い)
第13条
内部通報者に関する情報は、非公開とする。
(人権への配慮)
第14条
市長等は、この要綱の運用に当たっては、関係者の人権が不当に侵害されないように配慮しなければならない。
(運用状況の公表)
第15条
市長は、この要綱の運用状況に関して必要と認める事項(内部通報者が特定されるおそれのある情報を除く。)を、適宜公表するものとする。
(その他)
第16条
この要綱に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。
付 則
この告示は、平成30年7月17日から施行し、同日以後に行われた内部通報および内部通報を理由として受けた不利益な取扱いについて適用する。
付 則(平成31年4月1日告示第84号)
この告示は、平成31年4月1日から施行する。
付 則(令和4年6月1日告示第173号の2)
この告示は、令和4年6月1日から施行する。
付 則(令和5年4月1日告示第141号)
この告示は、令和5年4月1日から施行する。
別記様式第1号(第5条関係)
内部通報報告票
[別紙参照]
様式第2号(第8条関係)
内部通報に係る調査結果報告書
[別紙参照]