○井伊直弼公の功績を尊び茶の湯・一期一会の文化を広める条例
(令和5年3月27日条例第7号)
水と緑の豊かな自然環境に恵まれた彦根は、35万石の家格を誇った井伊家の城下町として、政治、経済および文化について重要な役割を果たしながら繁栄を遂げ、優美なたたずまいの城郭と共に暮らしてきた人々が織り成す歴史的で文化的な風情が残るまちである。
 彦根における茶の湯の歴史は深く、井伊家の歴代当主は茶の湯の道を修め、特に13代当主の井伊直弼公は、自身が埋木舎と名付けた屋敷で茶の湯を始め文武にわたる諸芸に打ち込み、後に幕府の大老に就任してからも自らの茶の湯の探求および実践に励んだ。その過程において、井伊直弼公は、利休を始めとする先人たちが築き上げた侘(わ)びの茶の原点を見つめ直し、自ら著した「茶湯一会集(ちゃのゆいちえしゅう)」において、茶の湯の心構えを「一期一会」の言葉に昇華し、世に示した。
現代においてもこのような歴史的な背景から彦根の井伊直弼公ゆかりの地で茶会が催されるとともに、井伊直弼公が愛用した物を含め数多くの歴史的な茶道具、茶書等が彦根城博物館に所蔵されているほか、楽々園には井伊直弼公が茶会を催した茶室が現存し、彦根城表御殿の天光室、玄宮園内の鳳翔台等の茶室も復元されるなど、情緒および風情のある彦根を形成している。
私たち彦根市民は、井伊直弼公の文化的功績を尊び、彦根に受け継がれてきた茶の湯の歴史、伝統、様式等を大切にするとともに、井伊直弼公が世に示した一期一会の精神を継承し、学び、広めていきたい。特に「幾度同じ人との出会いがあったとしても、その場は二度とないということに思いを致せば、全ての出会いは一生に一度限りの機会となる。だからこそ、誠心誠意人や事物に向き合う。」という一期一会の精神は、私たちが現代社会においても大切にしたい心の在り方であり、広く世界に共有しうる普遍的な考え方として後世に伝えていきたい。
また、茶の湯は、書画、工芸、料理、生花、菓子、建造物、庭園など日本のあらゆる文化とつながりを持つ文化であり、茶の湯との関わりを通して、彦根の新たな魅力を創造し、地域の活力を向上させるとともに、茶の湯・一期一会の文化の継承、定着および普及の促進を図り、もって市民の心豊かな生活の実現および歴史と伝統を生かした文化の香り高いまちの実現を目指し、この条例を制定する。
(目的)
(定義)
(基本理念)
(市の役割)
(茶の湯関係者の役割)
(市民等の役割)
(市、茶の湯関係者および市民等の協力)