3月3日:テーマ展「書斎の美 ―文房具愛玩―」を開催します

更新日:2021年03月03日

このたび、彦根城博物館において、みだしの展覧会を開催いたしますのでお知らせします。

展覧会名称

テーマ展「書斎の美 -文房具愛玩-」

会期

令和3年(2021年)3月12日(金曜日)~4月13日(火曜日) 会期中無休
開館時間:午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

会場

彦根城博物館
展示室1

展示の趣旨

悠久の歴史を持つ中国と、その影響下で文化を育んできた日本や朝鮮などの国々では、古くから、学問に優れた人や徳の高い人、風雅をわきまえた人を文人(ぶんじん)と呼び、その姿に理想の人間像を見出してきました。そして、書物を読み詩作にふけり、書画を表し、時に楽を奏でるという文人らしい知的な営みを行う部屋を、書斎あるいは文房と呼び、この部屋で用いる筆や硯などの筆記具、机や棚などの調度品を文房具と呼んで親しんできました。文人たちの活動を豊かに彩る文房具は、単なる道具という存在を超えて愛され、さまざまな趣向が凝らされてきたのです。
文房具愛玩の営みは、中国漢代に芽生え、南唐で基礎が築かれ、宋代にさらに発展を遂げたと言われています。その後、元から明、清へと受け継がれ、時代を経る毎にその種類が豊富になっていきました。例えば、明代末期に活躍した鑑識家、屠隆(とりゅう)の著『考槃余事(こうばんよじ)』には、45種もの品が文房具として挙げられており、筆床(ひっしょう)、筆洗(ひっせん)、水注(すいちゅう)、鎮紙(ちんし)などの筆記具はもちろん、書灯(しょとう)などの調度や花を生ける花瓶などが列記されています。
日本においては、『日本書紀』の推古18年(610年)の項に、高句麗の僧曇徴(どんちょう)が絵具と紙、墨の製法をもたらしたとあり、この頃に文房具の制作が始まったと考えられています。平安時代になると、『延喜式(えんぎしき)』などの朝廷の儀式について記した文献や公家の日記、物語文学などに、筆や墨、紙、硯は勿論、日本で独自の発展を遂げた硯箱などの記述が見え、この頃すでに、種々の文房具が用いられていた様子がうかがい知られます。室町時代に至ると、書院と呼ばれる空間に、中国の文人の書斎を思わせるような文房具の飾り付けが行われるようになり、この室内飾りが、江戸時代には、伝統的で格式高い室礼(しつらい)の一形式として定着することとなりました。このような飾りの場において、文房具は時に実用から離れ、工芸技術の粋を集めた美術品としての価値を持ち、鑑賞の対象とされることにもなったのです。
本展では、彦根藩井伊家伝来の文房具を中心に、硯や硯箱、筆架(ひっか)、水滴、肉池(にくち)などの筆記具、机や文庫などの調度品、著名な文人の愛用品など、多彩な文房具の数々を紹介します。風雅な趣に満ちた文房の品々をどうぞご覧ください。

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この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会事務局 彦根城博物館 学芸史料課学芸係

電話:0749-22-6100
ファックス:0749-22-6520

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