深呼吸
朝 スズメのさえずり聞きながら
胸いっぱい 深呼吸 ひとつ
まだ濁り少ない大気は
身体のすみずみまでいきわたり
頭のシンには ほどよい目覚まし時計
温さをようやく含みかけた
日ざしに向かって 深呼吸 ひとつ
干しかけの洗濯物を揺らしながら
すがすがしい スイセンの香り
自転車のペタル 踏みながら
風に向かって 深呼吸 ひとつ
土手にはまだ裸木が多い中
そのうちまんだらに浴びる
こぼれんばかりの 緑のシャワー
「おいしい水」は
コンビニでも自動販売機でも
見かけます
「おいしい空気」は
純度がすぐに落ち
にごり、不純物をろ過したりできません
浄化を森や山々、街路樹
ささやかな庭の植え込みに一任して
人々はせめて 思わず
深呼吸してみたくなるこの感覚
失わないよう
忘れてしまわないよう
深呼吸 していますか
できますか
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