詩 市民文芸作品入選集
 入 選 

サイコロ
日夏町 井嶋美津子

手の中から
一ツ落ちた サイコロ
小さな サイコロ
誰かがひらって 又捨てられた。

青春に捨てた 小さい愛を
一度つかんで 手の中にもどしたい
流れ雲の様に
一日 一日 よみがえる夢
子供の頃の 姿
ドッチボール 卓球 カンケリ
遊んだ 飛んだ 泣いて笑った

母の叱言を
他人の様にきく 父の声も背に受けて
あそび 声に出して 一生懸命だった。
お隣の 兄さん 姉さん
皆仲良しだ 多さんの顔の中に
自分も見つけた。

私の青春 今よみがえる
小さいサイコロが コロコロが
音もなく ころがっている


( 評 )
「小さなサイコロ 誰かが拾ってまた捨てられた」運命をもてあそぶサイコロを材料として拾った点を買いました。今後の作品に期待しています。

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