陽だまりで
萌えぎ色のふきのとうが小さく芽ぶき
春が見えかくれして
陽のあつまる背中は
さびしくも
とかしてしまうくらいの暖かさで
指先だけは少し冷えたままです
昨日までの忘れかけていた時間が
不器用に絡まっているのを
ゆっくりほどいて
想い出をかすめながら
一針一針編んでいます
春色だったり 秋色だったり
幼子の帽子だったりしたものを
ちぢれた毛糸に蒸気を当てると
まっすぐ伸びてくれます
繋いでゆくほど馴染み合う色
馴染み合うほど暖まってゆく色の中から
遠いものたちの匂いが立ちあがり
指先を少しづつ温めはじめます
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