詩 市民文芸作品入選集
 入 選 

坂道
平田町 北澤善男

ゆっくりと坂下から
乗用車、トラックが
次々と上って来る
地の中から生まれ出るようだ
坂を上り切ると
今度は背中を見せて
街の方へと消えて行く
対向車の車に混じり
霊柩車も通って行った
この坂道を生も死も
越さして貰っているのだ
生活に大事な大事な
坂道なのだ


( 評 )
単なる坂道を作者は「生と死への坂道」としてとらえた。ことに/地の中から……/の一行はうまい。別作「観覧車」も現時代をよく表わしている。共に言葉の切り口が快い。

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