<総 評>
作句に当っては、お互いの日常生活の朝夕から描き出され培われる親しみ多い詩稿情緒を詠いまとめる事が根幹とされています。
作句の全般を通じて感じた事は、趣味として辿る好きな作句と申し乍ら自然の織り成す風景とか、万象から受ける風雅な感傷が多分に汲み取られたと考へられた点は自然を愛する優しい心情の現れであり、文芸を通して作句者全員の情精が潔く高く培われ有する事実と含み取り、しみじみと何度も作句の心を味わいさせて戴きました。
(竹山吟月) |
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今回は数えて三十七回という伝統ある市民文芸の冠句部門に未熟な私が審査を仰せ付かり汗顔の思いでございます。
応募下さった八十名を超える雅兄姉の玉章は、三題合わせて二百三十八吟という多数にのぼり、限られた枠内ではとうていその5%にも満たない十一吟を選ばさせて頂き審査会に臨みました次第です。もちろんお二方宗匠のお目には及びませんが私なりに拾わせて頂いたものを含め最終的に特選の三句・入選六句・佳作二十三句と致しました。
尚、多くの秀吟を寄せて頂きながら勉強不足の故に見落としました点心からお詫び申し上げます。日頃から研鑽を重ねられておられることが句の心として表現されたものが多く見られありふれた付句も数少く思いました。
今後も尚精心され一つの冠題に対してこんな見かたもあったのかという作品の完成へと努力されますことをお願い致します。
(藤野畔子) |
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今年も、昨年に変わらぬ、多数のご応募に接し、ご盛会、大変喜ばしく思っております。
色々選者として、至らぬ所があろうかと思いますが、気の付いたことを一言記してみました。
私たちが兼ね備えている、詩的なリズム感は、七五調によって代表され日常化されております。このことは、文芸の長い歴史と伝統の上で、磨き挙げられてきた特性ではないかと思います。従って、これを有効に使うことも大事ではないかと思います。良く見受けられる付け句の、字余り、字足らずは、そのテンポの快さを少なからず損なう気もします。今一度、その事も念頭に入れていただいて、ご推敲して下されば、その一句が更に、生き生きとしてくるのではないかと思います。以上蛇足ながら………。
◎冠句愛好者の皆さんと、同好会を作ってみてはとの声もあります。お考えがあればお聞かせ下さい。(松山花兄) |