詩 市民文芸作品入選集
入 選

うつわ
八日市市今崎町 辰巳 友佳子

永い大地の眠りから起こされ
永久に眠ることを許されない

捏ねられ
叩かれ
また捏ねられ
そして
焼かれ
そこから
老いを知らない旅がはじまる

土くれに
炎の命が宿り
水でも何でも吸い込む
土くれのうつわ

貫入のきしみを
夜ごと聞いて


( 評 )
短い詩だが多くのことが語られている。陶器のもつ歴史が語られ、人生を重ね合わして読んだ。「老いを知らない旅」という表現は面白い。

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