入 選
( 評 )
早春、昼夜を問わず、物狂いせしかに鳴きたて妻を恋う猫が往き来する。その有様は闇を動かすほどに感じさせられる。家にも人にも寄りつかず、やがてやつれて帰って来る姿は哀れでさえもある。闇を動かすとは云い得て妙。
(紫 水)