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＜総 評＞
ひとりひとりの心にかかわる表現としての短歌を読む時、九十四名の九十四通りの世界には言いがたい重さがあり、圧倒されました。
三十一文字という器に言葉を盛るというこの営みはもっと直接に、もっと内部へ心も身も傾けねばなりません。
より大らかに、より細やかに、自分のことばで、自分の裡なるものを吐露し度いものです。新しい「われ」の可能性、永遠性を「わたし流に」具現されますことを期待します。
木村 光子
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応募作が昨年より十八名も少ないのは大変残念である。高齢や病気ということもあろうが頑張ってほしい。さて、本年の作品はあまり佳いとは思えなかった。本当に佳い歌とはいかなるものか、今少し判っていないように思う。単なる趣味では本格的な歌は作れない。毎年のように言っているが、自分の生の証しとしての作品である。つまり、生き方なり、生命の問題であり、当然これは一人一人異なるはずである。その辺を十分認識して作歌にのぞんでほしい。又、しずかに作って二回位は見直して、誤字やミスのないよう心がけていただくよう願ってやまない。
小西 久二郎
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歌は言葉によって成り立っているから、感動や発見を言葉で表現するのは当然であるが、総じて多くを語り過ぎているように思う。それでは感動の中心が薄れてしまう。改めて不要な言葉を削ぎ落とすことの必要性を感じる。
今回の九十四首を大まかにみると、身近な故人に関わる歌三十首、親子二十三首、孫曾孫十七首、夫婦十一首と家族関係を題材にしている歌が多く、友は三首と少ない。老い二十五首は高齢化傾向を反映しているのであろうか。その他時局世相に関する歌九首、戦争関係は六首で、それもかつての兵の死や病に関わっている歌があり、戦後六十年の歳月を感じさせた。その中から作者の思いが具体的表現に裏打ちされている歌に出会えた喜びがあった。
島野 達也
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