おやすみヒツジ
介護を終えて帰る夜道 冬のオリオンが 凍てつきはじめたフロントガラスに映える
道中には二つの橋が架かっていて 一つ目を越えると町名が 二つ目をこえると市名が変わる
景色も 人の心もどんどん変わる 変わらず位置する星座さえ 巡る季節で変化する
布団の中で帰る道を案ずる母へ ―今夜は星明かりやから 心配せんでも ええよ 眠りの浅いのは 相変わらずで うたた寝の母は今宵 何匹のヒツジを数えるだろうか。