詩 市民文芸作品入選集
入選

雨水の ころ
西今町 やまかみ まさよ

幼な子が
おぼつかない手で
ページを めくっている
指先もまだ ぎこちないのに

喃語で よんでいる

わたしが愛読している ぶ厚い哲学書の
いつからか 挟んだままの枝折りの
難解な部分を
パラパラと開けて みて

小さな背を丸めて よんでいる
その丸っこさが弾んでみえる
謎が解けたみたいに


( 評 )
 幼な子と哲学書、ちょっとアンバランスな組み合わせだが、作者が幼な子を見つめる優しい目がいい。短いだけに題名にもう少し語らせたいが…。

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