詩 市民文芸作品入選集
入選

柿の実
近江八幡市 村井 八郎

つるし柿に夕陽が照っている
夕陽は柿の実を透かして
白壁にも照っている
ピンクのビニールひもに
数え切れないほど下がっている

わらわべは庭で砂遊び
兄は砂のトンネルを作る
妹は電車をくぐらせる
兄弟は無心に遊んでいる
時はわらわべに無関係に流れている
止まったまま流れている

夕陽がゆっくり傾く
夕陽が山に落ちたあとも
柿の実は照っている

柿の実はやがて
わらわべの口に入り
夕陽は真っ赤にとろける


( 評 )
 つるし柿を透き通らせて夕日が落ちていく。その美しい真っ赤な色が見えるようだ。しかし少し淡々としすぎているように思う。なお3連目に「夕陽」が二つ出てくるが後者はいらないのではないか。

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