柿の実
つるし柿に夕陽が照っている 夕陽は柿の実を透かして 白壁にも照っている ピンクのビニールひもに 数え切れないほど下がっている わらわべは庭で砂遊び 兄は砂のトンネルを作る 妹は電車をくぐらせる 兄弟は無心に遊んでいる 時はわらわべに無関係に流れている 止まったまま流れている 夕陽がゆっくり傾く 夕陽が山に落ちたあとも 柿の実は照っている 柿の実はやがて わらわべの口に入り 夕陽は真っ赤にとろける