詩 市民文芸作品入選集
選者詩

辺境にいる
石内 秀典

〝白線の内側でお待ちください〟
駅のアナウンスが
流れるたびに
白線の外側につづく
茫漠とした空間を見つめる
それは荒野なのか
海なのか

地上の直線は地球を廻ると
円になる

円の外側を走り去っていく
盗賊のような一団
彼らが吹く笛の音が響いても
やつらには
ついに会えないのだ

全き円の淵には
発つべき
目印がない
禁忌ばかりの
円に閉じ込められ
爪先立つ私は


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