詩 市民文芸作品入選集
特選

ただ在ることの
米原市 篠原 ゆう

時々わけもなく
いらない一行になったような気がして
さて でもなく
ところで でもなく
そんな短かい必要 ではなく
だらだらとした中途半端な一行
そんな一行でも
削除されずに在ることの
そのあいまいさを
無抵抗に喉元を撫でられている猫のように
どこかで怯えながら
ただ居ることを許されたいと思う
ふと立ち止まっても
その無意味さを考えることを
考えないようになれたら

、や。は いいな


( 評 )
 この詩を読むと、このような「評」自体を拒絶しているように思う。「存在」をこのように短い詩句で言い切れる筆者の力量は並大抵ではない。終行の言い切りが作者の人生観を余すことなく書き切っている。

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