詩 市民文芸作品入選集
入選

茶の間の午後
馬場二丁目 清水 はる

おばあちゃん
めくるのまだ 早いで
お昼すぎたとこやで

  あぁー そうやなぁー
手にはめくった
日めくり ひらり

昔はほんまに よかったなぁー
今は何もかも 変ってしもた
「おばあちゃん 一体何が言いたいの」

またしても ひと口多い 八十九歳
孫の気嫌を損ねてしもた

  今日はいやな日

めくった日めくり
丸めて ひねって
天井へ投げたら
屑かごが はっしと受け止めた

  孫がくすりと笑った

  あしたが来ている
茶の間に午後の
日ざしが明かるい


( 評 )
 孫とのやりとりの中で生まれる食い違い、その中からたくまずしてユーモアのある日常の詩が現れてくる。老いを嘆きつつ、それに負けない明るさは、読後に爽やかなものが残る。

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