ゆいごん
三月半ばというのに また風雪の便りが届いた きのう ひだまりの縁側で おぼえたばかりのにぎりこぶしをつくり 爺じの肩を たたいていたおさな子 きよう さむそうな顔をして 届けられた手紙をひらくわたし つい先々月 逝ったばかりの母から 言いのこしたことがあっての 彼岸からのしろい文面 口数の少なかった母は さよならのまなざしだけを残していった ――もう だいじょうぶ わたしはひとりで留守居ができる そう返事を書いて 明日の窓辺にたたんで置いた