詩 市民文芸作品入選集
選者詩

大根
竹内 正企

引き抜かれた大根が
畦に並べられている
襟首肌白の細おもてである

春立てば くくだちして
菜の花を咲かせたい
そんな力を秘めた大根たちだ

大根は天日に干されて
甘漬けにされる
ぐんにやり曲るくびれの具合は
ぬかみそでしつけられる

歯切れのいい音をたてて
若嫁が甘漬けを食べている
その口中にひそむ睦みの味を
ほくそ笑みながら
大根足をかくしている


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