漬ける手
四十路になって感じる
確かな義母の手の営み
その手は大きい
ひび割れた手はいつも土が入り込み
その手で切った漬け物に抵抗があった
以前は
四十路を過ぎて分かる
その手はごまかさない
塩加減も量ったように
いつもの樽に重石に漬ける
長男に嫁(私)をもらうというその時
五十半ばで未亡人になり
次男に嫁をもらい
九十の姑の最期を看取り
今もなお同じ味の漬け物を漬ける義母
結婚当初から義母の肩腰の湿布張りは
私の手
求肥のような背中の肉に
冷たい布を張ると
ラードの溶ける色香がある
今年は何十本の大根洗いを手伝ってみよう
義母と一緒に草餅を作ってみよう
鮒寿司も少し習ってみよう
私の手もこの家の味に漬けられてゆく
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