猫の穴
外飼いしている猫たちのほとんどは 私の見えるところで死を待つ 真横に伸びきった身体に 痙攣が起き 瞳は一点を見遣り 四肢は空(くう)を駆ける 一瞬 ぐっっ と腑に響く音 死の淵に入りはじめたのか そのものに宿っていた寄生虫が いっせいに這い出てくる ノミかダニか 黒い影が波のようなうねりとなって 四方八方に蠢いて去っていく 一連の死の儀式に 立ち会わされ そうして私は 裏庭に小さな穴を掘り続ける