諦めない人生
しとしと雨の
紫陽花にまとわる日曜日
重い沈黙 長い溜息
やがて 厚い扉が開いた
白い布に包まれたタンカー
その向こうに
疲れ切った医者の緑の術着
なりも構わず座り込む
看護室の端にある
粗末な木の机
医者は無造作に置いた
不気味なアルミのシャーレ
拳(こぶし) の様な黒い肉の塊
病巣の取りきれる
最善を尽くしたと医者
無言で一礼し
急いで外にでた
廊下の外の景色いつまでも眺めてた
私の時間が止まり
動き出した時間に合わせ
安らかにベットで眠る妻
私は終日うろうろと
とめどもなく涙をながした
ベットから目で訴えた
貴方は気の弱い人
強く生きてね
あの日に心は遡る
梅雨窓辺に立つときいつも必ず
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