詩 市民文芸作品入選集
入選

淡雪
池州町 真野 美栄子

芽ぶき色を
少しずつ添えはじめた ある朝
 パレットに
 白い絵の具 残っているので
 今一度 塗り届けます
と 空から 思わぬ贈り物

何か 覆ってみたかったのか
白一色の ひと時

日が射しはじめると
思いが包み込めたように
みるみる間に 溶け出し
木々の枝先 草の葉先で
水晶の芽になり 遊んでいる

後向きになりかけた とまどいも
キラキラ輝く 玉の芽に消され
心 はずむ

ふと 見上げた空は
気まぐれを 忘れ
もう  春色


( 評 )
 一見雪の情景描写のように思えますが「後向きになりかけたとまどいも」という行で作者の中の葛藤がこの淡雪に癒されるのが見えます。淡白すぎるのでいま少し書き込んで欲しいと思います。

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