詩 市民文芸作品入選集
入選

憧れの空
芹橋二丁目 伊藤 正子

ビルの谷間の空は限られた四角
蟻の住処も解らないまま
湖北へ行こう
メタセコイアの並木を越えれば
空と湖の広がりは玉手箱を開けた様
ときめきは視界を越え
わたしを憩わせ悪を消し
何かへの挑戦の文字がよぎった
この町の路地の明け暮れには
同じ空しか仰げない
忘れていたのではないが
感動と発見想像もしない憧れ
クレームのない生き方
澄み渡る無限の空に
灼熱の夕やけ空に
生き直すため わたしは
若さが欲しいと切に


( 評 )
 「湖北へ行こう」という一行が新鮮でどこかへ飛翔したいという思いがうまく書かれています。ただもう少し自己の葛藤を具体的に書き込めばもっと思いが読者に伝わるのでないでしょうか。

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