挽臼
挽臼は生活の必需品だった 凸凹の石が重なり擂り合わせ 擦りあわせて粉を生みだした 女臼は受身の尻臼で動かぬ 雄臼は穴へ殻物を少量落しつつ それを左廻りの臼で粉に挽く 粉は湯で捏ねられ丸められ蒸される 手間暇かけて だんごにされた 花よりだんごと 手間を味わった 挽臼の片われが漬物石になった "おまえは どちらの石なのか" 凹みに垢ためた なき臼だった 片われは何処にいるのか 限界集落の 朽ち果てた 屋敷の跡に 埋もれている