ほくろ
色白の妹の頬に
芥子粒ほどの
なのに 目立つほくろ
時おり 私がつけた と
冷やかな目で なじる
おぼろげな記憶の中に
楽しげに 並んで 何か書いている
オカッパ頭の二人
いつしか ふざけ出し
横むいた妹の頬に
鉛筆を近づけ 名を呼んだ
チクッと 痛い目をさせたくて
ただ それだけ
でも 二人のへだたりは
計り知れない深さ
どんなに詫びても
なじる目差しは
年を重ねるごとに
鉛筆の芯のまま 心に刺る
色白の妹の頬の
小さな 小さな ほくろは
私の心の
大きな 大きな ほくろ
消せる
消しゴムは みつからない
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