詩 市民文芸作品入選集
選者詩

二人
竹内 正企

刑事と泥棒が
隣り合わせのトイレに飛び込んだ

辛抱しきれない間一髪の排泄に
しばしの快感をおぼえながら

刑事は 捕まえることばかり
泥棒は 逃れることばかり

水洗の水音たかく外に出た
羞恥の目礼を交わして

二人は それっきり
出会うことはなかった。



もどる