○彦根市環境基本条例
| (平成11年3月23日条例第1号) |
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碧く広がる琵琶湖と緑かがやく鈴鹿の山並みを望む本市は、幾筋もの河川がおりなす豊かな自然の中で地域固有の文化を育み、人と文化の交流を通じて貴重な歴史および文化環境を形づくってきた。
この恵まれた環境は、先人たちから引き継いだかけがえのない財産である。
わたしたちは、産業の発達と科学技術の進展に伴い、より便利な暮らしを求め続ける中で、この豊かな環境に対し少なからず負荷を与えている。その結果、身近な自然環境やうるおいのある快適な生活環境が失われつつあると同時に、広域的な生態系や地球規模の環境にまでも大きな影響を与えることになった。
もとよりすべての市民は、良好な環境の下で生活を営むことができる権利を有するとともに、恵み豊かな環境を保全、創出し、将来の世代に引き継いでいく責務を負っている。
今、わたしたちは環境の置かれている現実を直視し、先人たちが知恵と工夫で培ってきた生活のしくみに学びながら、人と自然とが共生できる社会を築き上げていかなければならない。そのためには、わたしたちのあらゆる行動が常に環境に配慮して進められるべきであり、すべての者がそれぞれの責任を果たしながら、協力協働して地域を総合的に管理していくという、環境パートナーの考え方に基づき行われなければならない。わたしたちはまた、本市が市単独に存在しているのではなく、市の周辺との関連の中に存在しているという認識を持ち、川筋を軸とした川の文化の視点など、広域的視野に立った取組を進めていかなければならない。
このような認識の下に、地域の特性を生かしたうるおいのある快適な環境の創出と、豊かな生態系を育み、かけがえのない恵みを与えてくれている琵琶湖と山並みの保全に努めていくとともに、地球環境も視野に入れた持続的発展が可能な社会の実現を目指して、ここに彦根市環境基本条例を制定する。
この恵まれた環境は、先人たちから引き継いだかけがえのない財産である。
わたしたちは、産業の発達と科学技術の進展に伴い、より便利な暮らしを求め続ける中で、この豊かな環境に対し少なからず負荷を与えている。その結果、身近な自然環境やうるおいのある快適な生活環境が失われつつあると同時に、広域的な生態系や地球規模の環境にまでも大きな影響を与えることになった。
もとよりすべての市民は、良好な環境の下で生活を営むことができる権利を有するとともに、恵み豊かな環境を保全、創出し、将来の世代に引き継いでいく責務を負っている。
今、わたしたちは環境の置かれている現実を直視し、先人たちが知恵と工夫で培ってきた生活のしくみに学びながら、人と自然とが共生できる社会を築き上げていかなければならない。そのためには、わたしたちのあらゆる行動が常に環境に配慮して進められるべきであり、すべての者がそれぞれの責任を果たしながら、協力協働して地域を総合的に管理していくという、環境パートナーの考え方に基づき行われなければならない。わたしたちはまた、本市が市単独に存在しているのではなく、市の周辺との関連の中に存在しているという認識を持ち、川筋を軸とした川の文化の視点など、広域的視野に立った取組を進めていかなければならない。
このような認識の下に、地域の特性を生かしたうるおいのある快適な環境の創出と、豊かな生態系を育み、かけがえのない恵みを与えてくれている琵琶湖と山並みの保全に努めていくとともに、地球環境も視野に入れた持続的発展が可能な社会の実現を目指して、ここに彦根市環境基本条例を制定する。
目次
第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 地域の各主体の連携および責務(第4条-第8条)
第3章 良好な環境の保全と創出に関する基本的施策
第1節 施策の策定等についての基本方針(第9条・第10条)
第2節 環境に関する基本的な計画の策定(第11条-第13条)
第3節 良好な環境の保全と創出のための基本施策(第14条-第16条)
第4節 良好な環境の保全と創出を推進するための施策(第17条-第24条)
第4章 環境審議会(第25条)
第5章 市民参画の制度的保証(第26条)
第6章 推進体制等(第27条-第30条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、良好な環境を保全し創出するため、基本理念を定め、ならびに市、市民、市民団体および事業者の連携の下でそれぞれが果たすべき責務を明らかにするとともに、良好な環境の保全と創出に関する施策の基本となる事項を定め、総合的かつ計画的に施策を推進し、もって現在および将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「良好な環境」とは、現在および将来の市民が健康を維持し、安全で快適かつ文化的な生活を営むことができる生活環境、自然環境ならびに歴史および文化環境をいう。
2 この条例において「市民団体」とは、良好な環境の保全と創出のための活動等を行うことにより、公益の増進に寄与することを目的として、主として市民により組織された団体をいう。
3 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
4 この条例において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化またはオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体またはその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全をいう。
(基本理念)
第3条 良好な環境の保全と創出は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人の健康で文化的な生活に欠くことができないものであることから、環境の恵みを等しく分かち合うための公平な役割分担によって、将来の市民に良好な環境を引き継いでいけるように、適切に行われなければならない。
2 良好な環境の保全と創出は、多様な生物が生息できる豊かな自然環境が、広域的な広がりの中で守り育てられるとともに、身近な自然を大切にする心を養い、自然とのふれあいを深めることにより、人と自然との共生が実現されるように行われなければならない。
3 良好な環境の保全と創出は、永い年月の中で蓄積された歴史的文化的資源の発掘、保存および活用により、自然環境と調和した歴史的景観の保全および市民生活との融合による魅力的なまちなみの形成が図られるように行われるとともに、先人たちが築いた文化の所産から、環境の大切さについて多くの学ぶべき事がらがあることを知り、これらを行動の中に生かすことにより行われなければならない。
4 良好な環境の保全と創出は、資源が有限であり、環境の復元力もまた限界があることを認識し、すべての者が環境への負荷を低減する努力を続けることにより、持続的発展が可能な社会が築き上げられるように行われなければならない。
5 地球環境保全は、すべての者がこれを自らの課題として認識し、あらゆる事業活動および日常生活において積極的に推進されなければならない。
第2章 地域の各主体の連携および責務
(地域の各主体の連携)
第4条 市、市民、市民団体および事業者は、それぞれの役割の中で良好な環境の保全と創出についての責務を果たすとともに、互いに公平かつ対等の立場で連携していかなければならない。
(市の責務)
第5条 市は、第3条に定める良好な環境の保全と創出についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な環境の保全と創出に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、および実施するとともに、評価を行わなければならない。
[第3条]
2 市は、良好な環境を保全するために必要な調査研究を実施しなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、市は、基本理念にのっとり、市民、市民団体および事業者が行う、良好な環境の保全と創出に関する事業または活動(以下「環境保全活動」という。)に協力協働しなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、住み良い生活環境を築くため、自らの行動によって良好な環境を損なうことのないように互いに配慮するとともに、日常生活において、資源およびエネルギー等の使用ならびに廃棄物の排出等による環境への負荷の低減に努めるものとする。
2 市民は、基本理念にのっとり、市が行う良好な環境の保全と創出に関する施策ならびに市民団体および事業者が行う環境保全活動に協力協働するものとする。
(市民団体の責務)
第7条 市民団体は、基本理念にのっとり、環境保全活動を進められるように、市民が参画できる体制の整備、情報の提供および活動機会の充実等を図るように努めるものとする。
2 市民団体は、環境保全活動を積極的に推進するとともに、市が行う良好な環境の保全と創出に関する施策ならびに市民および事業者が行う環境保全活動に協力協働するものとする。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴い、良好な環境を阻害することがないように、自らの負担と責任において適切な措置を講じるとともに、積極的に環境保全対策を推進するものとする。
2 事業者は、基本理念にのっとり、資源およびエネルギー等の有効利用を図るとともに、廃棄物の発生抑制等を進めることにより、環境への負荷を低減するように努めるものとする。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、市が行う良好な環境の保全と創出に関する施策ならびに市民および市民団体が行う環境保全活動に協力協働するものとする。
第3章 良好な環境の保全と創出に関する基本的施策
第1節 施策の策定等についての基本方針
(環境優先の理念および配慮)
第9条 市は、自らが策定し実施する施策について、環境優先の理念の下に、良好な環境の保全と創出を図ることを旨として行わなければならない。
2 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定および実施に当たっては、環境に十分配慮するように努めなければならない。
(広域的な環境保全)
第10条 市は、自らが策定し実施する施策について、市域のみならず、広域的な観点に立って環境保全が図られるように努めるとともに、広域的な策定および実施を必要とする環境の保全と創出に関する施策については、国、他の地方公共団体その他公共団体と協力してその推進を図るように努めなければならない。
第2節 環境に関する基本的な計画の策定
(環境基本計画)
第11条 市長は、良好な環境の保全と創出に関する施策を、総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 環境基本計画には、環境の保全と創出に関する長期的な目標、施策の方向と指針、その他の重要事項を定めるものとする。
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ彦根市環境審議会の意見を聴くとともに、市民等の意見を反映することができるように、必要な措置を講じなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表し、周知しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境基本計画との整合)
第12条 市は、施策の策定および実施に当たっては、環境基本計画との整合に努めるものとする。
(地球環境保全に向けた地域行動計画)
第13条 市長は、地球環境の保全に資するために、持続的発展が可能な社会の実現に向けた地域行動計画(以下「行動計画」という。)を策定しなければならない。
2 行動計画には、地球環境保全に関する基本方針、地域目標、行動指針その他の事項を定めるものとする。
3 市長は、行動計画を定めるに当たっては、あらかじめ彦根市環境審議会の意見を聴くとともに、市民等の参画の下で行動計画案の策定が行われるように、必要な措置を講じなければならない。
4 市長は、行動計画を定めたときは、速やかにこれを公表し、周知しなければならない。
5 前2項の規定は、行動計画の変更について準用する。
第3節 良好な環境の保全と創出のための基本施策
(快適な生活環境の確保)
第14条 市は、うるおいとやすらぎのある快適な生活環境を確保するため、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されるとともに、生活の場における安全性の確保ならびに健康の保護および増進のために必要な措置を講ずるとともに、快適な生活環境の確保のための活動が地域において自主的に展開されるように、情報の提供、普及啓発、活動の場の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(生態系を配慮した自然環境の保全と創出)
第15条 市は、多様な生物が微妙な生態系の均衡の中で生息できる自然環境が、地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されるように努めるとともに、公園その他の公共的施設の整備、および人と自然とのふれあいを広げるための事業の推進を図るように、必要な措置を講ずるものとする。
(歴史および文化環境の特性を生かした魅力ある都市空間の形成等)
第16条 市は、歴史的文化的資源の発掘、保存および活用により、趣きと深みのある個性的な都市空間の形成ならびに自然環境と調和した、魅力あるまちの形成に努めるとともに、先人から引き継いだ伝統および文化ならびに多彩な生活文化等が環境にとって重要な意義を有することから、環境学習等を通じてこうした文化の所産が良好な環境の保全と創出のために生かされるように、必要な措置を講ずるものとする。
第4節 良好な環境の保全と創出を推進するための施策
(資源の循環利用等の促進)
第17条 市は、廃棄物の減量および資源の循環的な利用について、市民、市民団体および事業者が行う活動が促進されるように、体制の整備、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用の促進を図るため、必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(環境学習、環境教育の推進)
第18条 市は、市民、市民団体および事業者が環境の保全についての理解を深め、環境に配慮した生活および事業活動が自主的に推進されることとなるように、環境についての学習および教育の振興に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 市は、環境についての理解が人間形成の上で極めて重要であることから、学校、家庭および地域において環境の保全についての学習が推進されるように、情報の提供、広報活動の充実、学習の場の提供等必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(市民団体の連携および支援)
第19条 市は、市民団体が相互の情報交換に努め、互いに連携することにより、環境保全活動の促進が図られるように、市民団体の自主性を尊重しながら、必要な支援を行うように努めなければならない。
(事業者の環境監査の推進)
第20条 市は、事業者自らが環境への負荷の低減について目標を定め、計画的に目標の達成を図るための活動を推進し、その実施状況の点検および評価を行うとともに、的確な環境の監査が行えるように、情報の提供等必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(協定の締結)
第21条 市長は、生活環境および自然環境の保全に関し必要と認めるときは、事業者と公害防止および環境保全に関する協定を締結することができる。
2 協定を締結した事業者は、当該協定を遵守しなければならない。
(年次報告書の作成)
第22条 市長は、毎年、環境の状況および良好な環境の保全と創出に関して講じた施策等に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。
(環境保全に関する施設の整備)
第23条 市は、良好な環境の保全と創出に関する公共的施設の整備を図るために、必要な措置を講ずるものとする。
(国際的な情報交換等)
第24条 市は、地球環境保全に資するため、国、県等と連携を図りつつ、国際的な情報交換、技術交流等の促進に努めるものとする。
第4章 環境審議会
第25条
環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、彦根市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会の所掌事務は、次のとおりとする。
(1) 市の区域における良好な環境の保全と創出に関し、基本的事項を調査審議すること。
(2) 環境基本計画に基づき実施される施策等に関し、その成果および実施状況について、市民参画の下で評価検討を行うこと。
3 審議会は、前項に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。
4 市長は、前項の規定による意見を聴いたときは、その内容を尊重して適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
5 審議会は、委員20人以内で組織する。
6 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 諸団体の代表者
(2) 学識経験を有する者
(3) 関係行政機関の職員
(4) 市民、市民団体および事業者
(5) 公募により選定する者
7 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
8 委員は、再任を妨げない。
9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織および運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
第5章 市民参画の制度的保証
第26条 市長は、良好な環境の保全と創出に関する基本的な施策の策定および実施状況に関し、定期的に市民から環境保全上の意見等を聴く場を設けなければならない。
第6章 推進体制等
(推進体制)
第27条 市は、良好な環境の保全と創出に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
(市以外の者への協力要請)
第28条 市は、市以外の者が市域の環境に影響を及ぼすと認められる事業の計画および実施に当たっては、本条例の趣旨が生かされるように、協力を求めるものとする。
(一時滞在者の協力)
第29条 旅行者その他の本市に一時滞在する者は、基本理念に基づき、環境への負荷の低減その他良好な環境の保全に努めるとともに、市が行う良好な環境の保全と創出に関する施策ならびに市民、市民団体および事業者が行う環境保全活動に協力するものとする。
(委任)
第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
付 則
(施行期日)
1 この条例は、平成11年7月1日から施行する。ただし、第11条から第13条までおよび第25条の規定は、平成11年4月1日から施行する。
(彦根市環境審議会条例の廃止)
2 彦根市環境審議会条例(昭和58年彦根市条例第25号。以下「旧条例」という。)は、平成11年3月31日をもって廃止する。ただし、この条例の施行の際、旧条例第3条第2項の規定により委嘱された彦根市環境審議会委員は、この条例の第25条第5項の規定により委嘱されたものとみなし、その任期は、平成12年7月16日までとする。
付 則(平成21年3月24日条例第22号)
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この条例は、平成22年8月1日から施行する。
付 則(令和3年3月19日条例第10号)
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この条例は、公布の日から施行する。