○彦根市景観条例
| (平成7年9月26日条例第26号) |
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わたくしたちのふるさと「彦根」は、雄大な琵琶湖の風景を望み、緑濃い鈴鹿山地や佐和山の山並みをまちの背景として、芹川をはじめとする自然性豊かな幾筋もの河川が琵琶湖へと注いでいる。また、ゆとりとやすらぎを感じさせる広々とした田園が広がり、先人から受け継いだ多くの自然および文化的遺産を有している。
これらの景観を、わたくしたちは、保全、育成または創造することにより、彦根市を人とひと、まちと人とが豊かにふれあう魅力あるまちにしていかなければならない。
わたくしたちは、これらの貴重な自然や文化を守り育て、歴史の中で培われた景観をこれからのまちづくりの中で活用し、その保存に努め、伝統を受け継ぎつつ新しい時代にふさわしい景観を創造し、次の世代へ引き継ぐことを決意し、この条例を制定する。
これらの景観を、わたくしたちは、保全、育成または創造することにより、彦根市を人とひと、まちと人とが豊かにふれあう魅力あるまちにしていかなければならない。
わたくしたちは、これらの貴重な自然や文化を守り育て、歴史の中で培われた景観をこれからのまちづくりの中で活用し、その保存に努め、伝統を受け継ぎつつ新しい時代にふさわしい景観を創造し、次の世代へ引き継ぐことを決意し、この条例を制定する。
目次
第1章 総則(第1条-第6条)
第2章 景観計画等(第7条-第9条)
第3章 行為の規制等(第10条-第17条)
第4章 景観重要建造物等(第18条-第20条)
第5章 景観形成協定(第21条・第22条)
第6章 景観形成市民団体(第23条・第24条)
第7章 表彰、助成等(第25条-第27条)
第8章 彦根市景観審議会(第28条-第33条)
第9章 彦根市景観アドバイザー(第34条-第37条)
第10章 雑則(第38条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関し必要な事項その他良好な景観の形成(以下「景観形成」という。)に関して必要な事項を定めることにより、市民の生活の姿である景観を保全し、育成し、または創造し、もって彦根市を美しく魅力あるまちとすることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の意義は、特別の定めのある場合を除くほか、法において使用する用語の例による。
(市の責務)
第3条 市は、景観形成を図るため、総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。
2 市は、道路、公園その他の公共施設の整備を行う場合には、景観形成に先導的役割を果たすように努めなければならない。
3 市は、景観形成のために講ずべき施策の策定および実施に必要な調査ならびに研究に努めなければならない。
4 市は、市民および事業者が景観形成に寄与することができるよう、景観に関する知識の普及を図る等必要な措置を講じなければならない。
(市民の責務)
第4条 市民は、自らも景観形成の主体であることを認識し、景観形成について積極的な役割を果たすよう努めなければならない。
2 市民は、市が行う景観形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、市内での事業活動の実施に当たっては、専門的知識、経験等を活用し、景観形成に積極的な役割を果たすよう努めなければならない。
2 事業者は、市が行う景観形成に関する施策に協力しなければならない。
(専門家の責務)
第6条 設計者、研究者等の専門家は、市の景観形成に直接関わる自らの立場を認識するとともに、意識の高揚に努め、市民、事業者および市が実施する都市景観形成に関わる諸活動に対し、積極的に協力しなければならない。
第2章 景観計画等
(景観計画の策定)
第7条 市長は、景観形成を総合的かつ計画的に進めるため、その基本となるべき計画として景観計画を定めなければならない。
(景観計画の策定手続)
第8条 市長は、景観計画を定めようとするときは、法第9条に定める手続によるほか、あらかじめ彦根市景観審議会の意見を聴かなければならない。
2 前項の規定は、景観計画の変更について準用する。
(重点地区および一般地区の指定)
第9条 市長は、景観計画区域のうち、重点的に景観形成を図る必要があると認める地区を重点地区、その他の地区を一般地区として指定することができる。
2 市長は、前項の規定による指定をするときは、当該指定する地区ごとにその特性に応じた景観形成に関する方針(以下「景観形成基本方針」という。)を定めなければならない。
3 市長は、重点地区のうち特に景観形成を図るために必要があると認める区域について、都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第1項に規定する都市計画に景観地区または地区計画等を定めることその他特に景観形成を図るために必要と認められる措置を講ずることができる。
4 前条第1項の規定は、重点地区および一般地区を指定し、景観形成基本方針を定めようとするとき、またはこれらの変更もしくは解除の手続を行おうとするときについて準用する。
第3章 行為の規制等
(事前協議)
第10条 法第16条第1項および第2項の規定による届出または同条第5項の規定による通知を要する行為のうち規則で定める行為をしようとする者は、当該行為の計画および内容について、規則で定めるところにより、市長に協議しなければならない。
2 前項の規定による協議(以下「事前協議」という。)は、当該行為に着手する日の90日前までに市長に申し出なければならない。
(措置の要請)
第10条の2 市長は、事前協議の申出があった場合において、当該行為が景観計画に定める基準に適合しないと認めるときは、規則で定めるところにより、当該事前協議を申し出た者(次条において「申出者」という。)に対し必要な措置を講ずるよう要請することができる。
2 市長は、前項の規定による要請を行う場合において、必要があると認めるときは、彦根市景観審議会または彦根市景観アドバイザーの意見を聴くことができる。
(事前協議の終了等)
第10条の3 事前協議は、次の各号のいずれかに該当するときに終了するものとする。
(1) 事前協議が調ったとき。
(2) 申出者が、規則で定めるところにより、事前協議を終了する旨を市長に申し出たとき。
2 市長は、事前協議が終了したときは、その結果を申出者に通知するものとする。
(届出を要する行為)
第11条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、景観法施行令(平成16年政令第398号)第4条第1号、第2号(木竹の植栽を除く。)、第4号および第5号に掲げる行為(重点地区で行われるものに限る。)とする。
(届出を要しない行為)
第12条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次の各号に掲げる地区の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
(1) 重点地区 次に掲げる行為
ア 法令(条例を含む。)の規定に基づき許可もしくは認可を受け、または協議をして行う行為のうち、景観形成のための措置が講じられる行為で規則で定めるもの
イ その他規則で定める行為
(2) 一般地区 規則で定める行為
(届出書の添付図書)
第12条の2 景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)第1条第2項第4号の条例で定める図書は、建築物または工作物の平面図その他規則で定める図書とする。
(完了等の届出)
第12条の3 法第16条第1項または第2項の規定による届出をした者は、当該届出に係る行為を完了し、または廃止したときは、速やかに、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。
(特定届出対象行為)
第13条 法第17条第1項の条例で定める特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号および第2号の届出を要する行為の全てとする。
(助言および指導)
第14条 市長は、法第16条第1項または第2項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が景観計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、必要な措置を講ずるよう助言し、または指導することができる。
(勧告等に係る手続)
第15条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告、法第17条第1項または第5項の規定による命令、前条の規定による助言または指導および第17条の規定による要請をしようとする場合において、必要があると認めるときは、あらかじめ彦根市景観審議会の意見を聴くことができる。
[第17条]
(報告および公表)
第16条 前条に規定する助言、指導、勧告または命令を受けた者は、これらによって講じた措置について、規則で定めるところにより、市長に報告しなければならない。
2 市長は、法第16条第3項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくこれに従わないときは、当該勧告の内容および当該勧告を受けた者の氏名または名称を公表することができる。
3 市長は、第1項の規定により報告を受けた場合は、必要に応じて調査を実施することができる。
(空地等の管理に関する要請)
第17条 市長は、重点地区の空地、建築物等が当該重点地区の景観形成に支障を及ぼしていると認めるときは、当該空地、建築物等の所有者、占用者または管理者に対し、周辺景観に配慮した管理を行うよう要請することができる。
第4章 景観重要建造物等
(景観重要建造物および景観重要樹木の指定に関する手続)
第18条 市長は、景観重要建造物または景観重要樹木を指定しようとするときは、あらかじめ彦根市景観審議会の意見を聴かなければならない。
2 市長は、法第22条第1項または第31条第1項の規定による許可をするに当たって必要と認めるときは、あらかじめ彦根市景観審議会の意見を聴くことができる。
(標識の設置)
第19条 法第21条第2項または第30条第2項に規定する標識は、公衆の見やすい場所に設置しなければならない。
(景観重要建造物および景観重要樹木の管理の方法の基準)
第19条の2 法第25条第2項の規定により条例で定める景観重要建造物の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することがないようにすること。
(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上必要な措置を講ずること。
(3) 景観重要建造物の滅失を防ぐため、その敷地、構造および設備の状況を定期的に点検すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、規則で定めるもの
2 法第33条第2項の規定により条例で定める景観重要樹木の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要樹木を良好に保全するため、せん定その他の必要な措置を講ずること。
(2) 景観重要樹木の滅失、枯死等を防ぐため、病害虫の駆除その他の必要な措置を講ずること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定めるもの
(減失等の届出)
第20条 景観重要建造物または景観重要樹木の所有者は、当該景観重要建造物が減失し、もしくはき損し、または当該景観重要樹木が減失し、枯死し、もしくはき損した場合は、その旨を市長に届け出なければならない。
第5章 景観形成協定
(景観形成協定の締結)
第21条 一定の区域内に存する土地、建築物、工作物または広告物もしくは広告物を掲出する物件の所有者またはそれらを使用することができる権原を有する者は、その区域における景観の形成についての協定(以下「景観形成協定」という。)を締結することができる。
(景観形成協定の認定)
第22条 前条の規定により景観形成協定を締結した者は、規則で定める事項を記載した景観形成協定書を作成し、規則で定めるところにより、これを市長に提出し、その認定を求めることができる。
2 市長は、前項に規定する景観形成協定書の提出があったときは、その内容を審査し、当該協定の内容が景観の形成に寄与し、かつ、規則で定める要件に該当するものであると認めるときは、これを認定することができる。
3 市長は、前項の規定により景観形成協定を認定したときは、当該景観形成協定の内容を告示しなければならない。
4 景観形成協定を締結した者は、当該景観形成協定の変更または廃止をしたときは、その旨を市長に届け出なければならない。
5 市長は、前項の規定による廃止の届出を受理したときまたは当該景観形成の内容およびその運用が景観の形成上適当でなくなったと認めるときは、第2項の認定を取り消すものとする。この場合において、市長はその旨を告示するものとする。
6 市長は、景観形成協定を認定し、または認定を取り消す場合において、必要があると認めるときは、あらかじめ彦根市景観審議会の意見を聴くことができる。
第6章 景観形成市民団体
(景観形成市民団体の認定)
第23条 市長は、一定の地区における景観形成を図ることを目的として組織された団体で、次の各号のいずれにも該当するものを景観形成市民団体(以下「市民団体」という。)として認定することができる。
(1) 市民団体の活動が当該地区における景観形成に有効と認められるものであること。
(2) 市民団体の活動が当該地区の多数の住民に支持されていると認められるものであること。
(3) 市民団体の活動が関係者の所有権その他の財産権を不当に制限するものでないこと。
(4) 規則で定める要件を具備する市民団体規約が定められていること。
2 前項の規定による認定を受けようとする市民団体は、規則で定めるところにより、市長に申請しなければならない。
(市民団体の認定の取消し)
第24条 市長は、前条第1項の規定により認定した市民団体が同項各号のいずれかに該当しなくなったと認めるとき、または市民団体として適当でなくなったと認めるときは、その認定を取り消すものとする。
第7章 表彰、助成等
(表彰)
第25条 市長は、地域の景観形成に寄与していると認められる建築物その他の物件について、その所有者、設計者、施工者その他の関係者を表彰することができる。
2 市長は、地域の景観形成に寄与していると認められる活動を行った個人または団体を表彰することができる。
3 市長は、前2項の規定により表彰しようとするときは、あらかじめ彦根市景観審議会の意見を聴かなければならない。
(景観重要建造物および景観重要樹木に係る助成等)
第26条 市長は、景観重要建造物および景観重要樹木の所有者に対し、その保全等のために技術的援助を行い、またはその保全等に要する経費の一部を予算の範囲内において助成することができる。
(景観形成協定に対する助成等)
第27条 市長は、第22条第2項の規定により認定した景観形成協定その他規則で定める協定を締結した者または第23条第1項の規定により認定した市民団体が行う景観形成を図るための行為に対して技術的援助を行い、またはその活動に要する経費の一部を予算の範囲内において助成することができる。
第8章 彦根市景観審議会
(設置)
第28条 市長の附属機関として、彦根市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例によりその権限に属するものと定められた事項を調査・審議するほか、市長の諮問に応じ、次に掲げる景観に関する事項を調査・審議する。
(1) 法第61条第1項の規定による景観地区の決定または景観地区の変更
(2) 法第92条第1項の規定による景観整備機構の指定または法第95条第3項の規定による景観整備機構の指定の取消し
(3) 前2号に掲げるもののほか、法またはこの条例に基づく処分その他の行為をしようとする場合において市長が必要があると認める事項
3 審議会は、前項に規定する調査・審議を行うほか景観に関する事項について、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第29条 審議会の委員の定数は、規則で定める。
2 委員は、市民の代表および学識経験を有する者のうちから市長が委嘱し、または任命する。
(臨時委員)
第30条 前条の規定にかかわらず、特別の事項を調査・審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を若干人置くことができる。
2 臨時委員は、市長が委嘱し、または任命する。
3 臨時委員は、当該審議事項の審議が終了したとき解職されるものとする。
(委員の任期)
第31条
第29条で規定する委員の任期は、4年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
[第29条]
(会長)
第32条 審議会に会長を置き、委員の互選により定める。
(審議会の運営)
第33条
この章に定めるもののほか、審議会の運営について必要な事項は、規則で定める。
第9章 彦根市景観アドバイザー
(彦根市景観アドバイザーの設置)
第34条 市長は、市民および事業者に対し、景観形成を適切に誘導するため、彦根市景観アドバイザーを置くことができる。
(彦根市景観アドバイザーの委嘱等)
第35条 彦根市景観アドバイザーは、学識経験を有する者のうちから市長が委嘱する。
2 市長は、前項の規定により彦根市景観アドバイザーを委嘱しようとするときは、審議会の意見を聴くことができる。
(彦根市景観アドバイザーの任期)
第36条 彦根市景観アドバイザーの任期は、4年とする。ただし、再任を妨げない。
(規則への委任)
第37条 この章に定めるもののほか、彦根市景観アドバイザーに関し必要な事項は、規則で定める。
第10章 雑則
(委任)
第38条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
付 則
(施行期日)
1 この条例は、平成8年4月1日から施行する。ただし、第3章から第7章までの規定は、平成9年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例施行の際、現に定められている彦根市都市景観基本計画は、第8条の規定によって定められたものとみなす。この場合において、審議会設置の日までは、「彦根市都市景観審議会」を「彦根市都市景観懇話会」とする。
付 則(平成12年3月28日条例第34号)
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この条例は、平成12年4月1日から施行する。
付 則(平成18年12月22日条例第52号)
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この条例は、平成19年6月1日から施行する。ただし、第3章の改正規定は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
付 則(令和6年7月2日条例第33号)
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(施行期日)
1 この条例は、令和7年4月1日から施行する。ただし、第13条から第16条まで、第28条および第31条の改正規定ならびに次項および第3項の規定は、公布の日から施行する。
(準備行為)
2 市長は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、この条例による改正後の彦根市景観条例(以下「新条例」という。)第9条第4項において準用する新条例第8条第1項の規定の例により、新条例第9条第1項の重点地区および一般地区の指定ならびに同条第2項の景観形成基本方針の策定のために、彦根市景観審議会の意見を聴くことができる。
3 市長は、施行日前においても、新条例第9条第3項の規定による都市計画への措置および新条例第35条の規定による彦根市景観アドバイザーの委嘱に関し必要な手続その他の行為をすることができる。
(経過措置)
4 新条例第10条から第10条の3までの規定は、令和7年7月1日以後に着手することとなる行為(規則で定める行為を除く。)について適用し、同日前に着手する行為(規則で定める行為を含む。)については、なお従前の例による。
5 新条例第11条から第12条の3までの規定は、令和7年5月1日以後に着手することとなる行為(規則で定める行為を除く。)について適用し、同日前に着手する行為(規則で定める行為を含む。)については、なお従前の例による。
6 新条例第26条および第27条の規定による助成は、施行日以後の行為に係る経費について適用する。