○彦根市議会基本条例
(平成26年3月4日条例第1号)
目次

第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会および議員の活動原則(第3条-第5条)
第3章 市民と議会との関係(第6条-第8条)
第4章 市長等と議会との関係(第9条-第11条)
第5章 議員間討議、政策提言および政策提案(第12条・第13条)
第6章 議会および議会事務局の体制整備(第14条-第18条)
第7章 議員の定数および報酬(第19条・第20条)
第8章 条例の位置付けおよび見直し(第21条・第22条)
付則

議会は、これまで一問一答制の導入、議員定数の見直し、政務活動費の使途明確化等の議会改革に取り組んできた。さらに、議会改革を推進するため、市民にアンケートを行った結果、議員の活動が分からない、姿が見えない、資質向上を図るべきである、議会の情報公開が不足している等の意見を得た。
議会は、このような市民の意見に鑑み、責任ある意思決定機関として、市民の負託に応えるべく、議員相互の議論を深めて合意形成を図り、分かりやすく開かれた議会を目指すこととした。
議論と行動を重ねる中、全ての議員が、市民の声を市政に反映させるために市民と情報や課題を共有すること、市政の執行が適正に行われるように議会の監視機能を強化すること、責任ある決定を行うために合意形成を目指して活発な議員間での討議を行うこと、市の政策水準の向上を図るために積極的に政策提言および政策提案を行うことの必要性を改めて強く認識した。
ここに、議会は、これらの認識の下、市民の福祉の増進を図るとともに、風格と魅力ある都市の創造に全力で取り組んでいく決意を新たにし、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会の基本理念を明らかにするとともに、議会および議員の活動原則、市民と議会との関係その他の議会に関する基本的な事項を定めることにより、議会と市民および市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との議論ならびに議員間での討議を通じてより良い政策の実現を図り、もって市政の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、市民を代表する機関として、市民と情報を共有し、市民の意見を市政に反映させなければならない。
2 議会は、二元代表制の一翼を担う議事機関として、市長等による事務の管理および執行を監視し、および評価するとともに、積極的に政策提言を行い、政策提案に努めなければならない。
3 議会は、議会の議決すべき事件を決することにより市の団体としての意思を決定する機関として、その責任を深く認識するとともに、合議体としての役割を果たさなければならない。
第2章 議会および議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、前条の基本理念にのっとり、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市民を代表する機関であることを自覚し、議事機関として議会の権限を行使して本市の意思決定を行うこと。
(2) 市民の市政への参加の機会の拡充を図ることにより、市民の多様な意見を反映した政策提言および政策提案の機能の強化に努めること。
(3) 市民に開かれた議会を実現するため、その情報の公開に取り組むとともに、市民に対し、議会の議決について、その経緯、理由等の説明責任を果たすこと。
(4) 議会への市民の関心を高め、理解を深めるため、分かりやすい言葉および表現を用いるほか、工夫を凝らした方法での議会の運営に努めること。
(5) 議会に関する条例、規則等を継続的に見直し、不断の改革に努めること。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、議会を構成する一員として、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市民の代表として高い倫理観が求められていることを自覚し、良心と責任感を持ってその責務を果たすとともに、品位の保持に努めること。
(2) 議会が合議制の機関であることを十分に認識し、議員間での討議を積極的に行うこと。
(3) 日常の調査研究および研修活動を通じて自らの資質の向上に努めるとともに、市民の代表者としてふさわしい活動を行うこと。
(4) 議会の活動について、市民に対して説明責任を果たすこと。
(5) 一部の地域または団体の代表にとどまらず、市民の代表として、市民全体の福祉の向上を目指すこと。
(会派)
第5条 議員は、基本的な政策を共有する2人以上の議員で構成する会派を結成することができるものとする。
2 会派は、必要に応じて議会の運営、政策等に関する意見の調整を行い、議会としての合意の形成に努めるものとする。
第3章 市民と議会との関係
(会議の公開)
第6条 議会は、会議および委員会を原則として公開するとともに、その他の会議の公開に努めるものとする。
(広報および広聴)
第7条 議会は、市民への説明責任を果たすとともに、市民の意見を市政に反映させるため、各種の情報メディアを活用して、情報の発信および市民の意見の把握に努めなければならない。
2 議会は、参考人および公聴会の制度を十分に活用して、市民等の専門的または高度な識見等を議会における討議に反映させるよう努めるものとする。
3 議会は、必要に応じて市民との意見交換の場を設け、市民の意見を市政に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、広報および広聴についての機能の充実を図るため、全議員が参画する組織を設置するものとする。
(議会報告会)
第8条 議会は、市政に関する情報を市民に提供するとともに、市民の多様な意見を把握することにより、市民と議会との情報の共有化を進めるため、議会報告会を開催するものとする。
2 議会報告会に関することは、別に定める。
第4章 市長等と議会との関係
(市長等との関係の原則)
第9条 議会は、二元代表制の下、市長等との間において、健全な緊張関係を保持するよう努めるものとする。
(質疑、質問等の原則)
第10条 議員は、論点を明確にして、市長等に対する質疑および質問を行うものとする。
2 議長および委員長は、質疑および質問に対し、論点を整理するため、答弁者の反問を認めることができるものとする。
3 議長は、議員または委員会による条例の提案および議案の修正の提案に対し、市長その他執行機関の長が反対の意見を述べる機会を与えることができるものとする。
4 議会は、市長等に対し、市長等が提案する政策、施策、計画等の内容に応じ、十分な審議を行うために必要な説明を求めるものとする。
(議決事件の追加)
第11条 議会は、市政の監視機能を強化するため、必要に応じて特に重要な計画等に関することを議会の議決すべき事件として定めるものとする。
2 議会の議決すべき事件の追加については、別に条例で定める。
第5章 議員間討議、政策提言および政策提案
(議員間討議)
第12条 議員は、あらゆる会議において、自らの意見を述べるとともに、他の意見に対しても真摯に耳を傾け、議員間での討議を尽くさなければならない。
(政策提言および政策提案)
第13条 議長および委員長は、議員間での討議を中心に会議および委員会を運営し、その結果を市政に反映させることができるよう意見の集約に努めるものとする。
2 議会は、議員間での討議を尽くし、議会としての合意の形成がなされた内容について、政策提言を行うとともに政策提案に努めるものとする。
第6章 議会および議会事務局の体制整備
(政務活動費)
第14条 議会は、公正性および透明性を確保するため、政務活動費による活動状況を公開するものとする。
2 議会は、政務活動費を厳正かつ適切に活用するため、政務活動費の使途の基準および交付額について、必要に応じて調査および検討を行うものとする。
3 政務活動費の交付に関することは、別に条例で定める。
(議員研修)
第15条 議会は、議案等の審査、政策提言および政策提案に関する議員の能力を向上させるため、議員に対する研修の充実を図らなければならない。
(議会事務局)
第16条 議会は、議案等の審査、政策提言および政策提案の機能を高めるため、議会事務局の組織の充実および体制の強化を図るものとする。
2 議会事務局に関することは、別に条例で定める。
(議会図書室)
第17条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるとともに、その有効活用を図るものとする。
2 議会図書室に関することは、別に定める。
(予算の確保)
第18条 議会は、議事機関としての機能を充実させるため、市長に対し、必要な予算を確保するよう求めるものとする。
第7章 議員の定数および報酬
(議員の定数)
第19条 議会は、適正な議員の定数について、必要に応じて調査および検討を行うものとする。
2 議会は、議員の定数を改めようとするときは、行財政改革の視点だけでなく、市政の現状および課題ならびに将来の予測および展望を十分に考慮するとともに、市民および学識経験を有する者の意見の聴取に努めるものとする。
3 議員の定数については、別に条例で定める。
(議員報酬)
第20条 議会は、適正な議員報酬について、必要に応じて調査および検討を行うものとする。
2 議会は、議員報酬を改めようとするときは、社会経済情勢および市の財政状況ならびに他の自治体における議員報酬の状況等を十分に考慮するとともに、市民および学識経験を有する者の意見の聴取に努めるものとする。
3 議員報酬に関することは、別に条例で定める。
第8章 条例の位置付けおよび見直し
(条例の位置付け等)
第21条 この条例は、議会に関する基本的な事項を定める条例であり、議会に関する他の条例等を制定し、または改廃する場合においては、この条例との整合を図らなければならない。
2 議会は、この条例の理念を浸透させるため、議員に対し、その任期開始後速やかに、この条例についての研修を行わなければならない。
(見直し)
第22条 議会は、年1回以上、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいてこの条例の改正その他の必要な措置を講ずるものとする。
付 則 抄
(施行期日)
1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。